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 ある日、僕の心は言った。「私はあなたのものじゃない」と。  僕は驚いた。僕の心は、僕のものだと思っていたのに。それなのに、僕の心は、さらに言う。  「私は、あなたのものじゃない!あなたにどんなに大切にされても、私は私なの!だからどうか、私のことは忘れて!私に近づくのはやめて!」  そんなはずはない。僕の心は、僕のものだ。僕は、僕の心を抱きしめようとする。これは僕の愛情表現だ。けれど、僕の心は、僕を突き離し、そして、側にあった包丁を手に取った。  「近づかないで!」  そう言いながら、心は、弱った体で僕の方に突っ込んできて、そして、僕はお腹に痛みを感じた。突然足ががくがくとして立っていられなくなり、僕はその場に崩れるように倒れた。心は、包丁から手を離し、怯えたように後ずさり、そして何も言わずに、ふらふらとした足取りで離れて行く。  待って、と言おうとしたけれど、声にならなくて、僕は僕の心の、僕の大切な彼女の、後姿を見ていることしかできなかった。
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