公暁、武士になろうとした男

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 実朝は、多くの人を従わせるだけの人望も持ち合わせていた。北条も、三浦も、将軍実朝を認めている。  それに対して、俺は、何を持っているというのか!  武士として生きようと思って自ら決めた名さえ公にすることは許されず。 「お父君のことをお忘れあるな!あなた様こそ、武家の頂点に立つべきはずだったお方なのです!」  波多野義定の叱咤に、公暁は、分かっているといった目を向けた。  
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