公暁、武士になろうとした男

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 しばらくして、祖母政子は、出家した女性には破格の従三位を与えられた。  実朝は左大将に任じられ、とうとう頼朝の官位を超え、左大将の直衣始めの儀が、公暁が別当を務める鶴岡八幡宮で行われた。  それから、間もなく、実朝は内大臣に任じられた。摂関家の出身でもない、まだ二十代の武家の棟梁が大臣職に昇るなど異例のことだった。  それだけではなく、祖母の政子までが従二位に昇進した。 (これは、間違いなく、何かある!)  直感で公暁はそう思った。  
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