公暁、武士になろうとした男

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 公暁は、赤子の時に顔を何度か見ただけの異母弟栄実が謀反の旗頭にされたと聞いた時、己が身の行く末と重ね合わせずにはいられなかった。  栄実は、一度は祖母の嘆願もあってか、僧籍にはいることで許されたが、和田の残党達に二度目の旗頭とされたときは許されず、殺された。 「俺は、知らぬ間に誰かの操り人形のように旗頭にされて、生涯を終えるなどまっぴらごめんだ!」  
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