chapter2 花嫁を追いかけて

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北斗はこぶしを握り締めて ベッドの上で寝返りを打った 伊藤アリス・・・・ 名前はアリスだ・・・・ 今は夢の霞の中にアリスが 初めて見た時と同じように細やかに巻かれた 綺麗な巻き毛を顔周りに 可愛らしく垂らしていた 初めて彼女を見た時 陰鬱な世界で唯一色を帯びた 無防備な儚い花のようだった 彼女の大きな戸惑いに満ちた瞳を見つめた時 脳は機能を停止し 喉はふさがり おなじみの緊張に襲われた しかし唇が触れ合った瞬間 北斗にははっきりわかった 彼女は自分のものだと腹を殴られたような衝撃と共に それを認識した 彼女の唇は花びらのようだった ほんの束の間だが唇を重ね 舌でそっと触れた時は最高に気持ちが良かった 北斗は衝動的に彼女を抱きしめ 夢中で柔らかい唇をむさぼった 彼女の事を考えるとはかなくて 魅惑的な思いが胸に溢れれる 思い出すたびに胸に溜まっていた 熱い思いがせきを切ったように迸る 唇で唇の輪郭をなぞり そっと舌の先を歯に当てると 彼女は抵抗しなかった 北斗は再び唇を重ね 燃える気持ちを抑えて優しく彼女の唇を開かせた やめようと思うのだが どうしてもキスをやめられなかった
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