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「今年の春にはお前は小学校にいくんだぞ?
ちゃんとベッドで寝れるようにならないと 」
明が暗い顔で言った
「い・・・行きたくなっ・・ない・・
がっ・・学校なんか・・・ 」
「学校に行ったら友達も出来るぞ?
楽しいことがいっぱいあるよ」
「ほ・・・北斗といる・・・ 」
ぎゅっと首にしがみついてくる
母親の違う弟の背中を優しく叩いてやる
不安なのはわかるがいつまでもこの家で
北斗達大人だけと関わって生きていくわけには
いかない
「今日はアレクサンダーに乗せてやる
それと噓つきのお前の二番目の兄さんは?
どこにいるか知ってるか? 」
黒毛の勇ましい雄馬アレクサンダーに
乗せてもらえると言われて
明の小さな体に興奮が走っているのがわかる
彼は思わず笑顔になった
「あ・・朝方・・トラックの音がしたから
ナオは・・帰ってきてると思う・・・」
「着替えてきなさい 」
:*゚..:。:. .:*゚:.。
北斗が母屋から畑を挟んだ納屋に顔を出してみると
藁の山の中に埋もれて北斗の実の弟直哉が
いびきをかいて寝ていた
とても酔っぱらっている
尻がズボンからはみ出している
納屋中が酒臭い
なんとも情けない
こいつは昨夜も牧場と町の間にあるスナックで
朝まで飲んでいたのだろう
北斗は納屋の入口に佇み腕を組んで
コイツをどうしたものかとため息をついた
ボコボコに殴るのがいいか
それとも頭から水をかぶせるのがいいか
「なんだ?そこで寝てるのはナオか?」
その時北斗の後ろから話しかけたのは
北斗の親友で郵便局員の「笠原仁」だった
北斗の同級生は身長185センチはあり
そして30歳を超えた今でも
成長期のように身長は伸び続けている
灰色の郵便局員の制服のズボンから
くるぶしがはみ出ている
彼の家族は巨人一家でお父さん(郵便局長)も
お母さんもとても大きい家族だ
村の人々は彼の事を「ビック・ジン」と読んでいた
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