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隠さなければいけない秘密!
「はあ、はあ、はあ……!」
少年は必死で穴を掘り続けた。家族が帰ってきてしまう、その前に終わらせなければいけない。時間は残りわずか。そのわずかの時間で決着をつけなければ、自分は終わりだ。
スコップを握る手が汗で滑る。
腕が疲れて痺れてくる。
それでも必死で掘り続ける理由はただ一つ――この場所に埋めなければいけないものがあるから。万に一つでも、犬に掘り当てられたら一大事だ。
可能な限り深く、早く。
絶対に絶対に、誰かに発見されることがないように。
――見つかってはいけない。
ハシゴを使わなければ降りられないほど深い穴を掘ったところで、少年は息を吐いた。あと少しだ。固く紐で縛った箱を、穴の中に蹴り落とす。
あとは上から土をかぶせれば封印できる。上手に埋めて、プランターなどの位置をしっかり戻せばきっと大丈夫。誰にも見つからないはずだ――あの恐ろしい秘密は、けして。
――バレてはいけない。……絶対に、絶対に……!
万が一の瞬間を想像し、歯ががちがちと恐怖で鳴る。背筋が震え、冷たくなる。
この時まだ、少年は何も気づいていなかった。それは。
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