隠さなければいけない秘密!

1/2
2人が本棚に入れています
本棚に追加
/2ページ

隠さなければいけない秘密!

「はあ、はあ、はあ……!」  少年は必死で穴を掘り続けた。家族が帰ってきてしまう、その前に終わらせなければいけない。時間は残りわずか。そのわずかの時間で決着をつけなければ、自分は終わりだ。  スコップを握る手が汗で滑る。  腕が疲れて痺れてくる。  それでも必死で掘り続ける理由はただ一つ――この場所に埋めなければいけないものがあるから。万に一つでも、犬に掘り当てられたら一大事だ。  可能な限り深く、早く。  絶対に絶対に、誰かに発見されることがないように。 ――見つかってはいけない。  ハシゴを使わなければ降りられないほど深い穴を掘ったところで、少年は息を吐いた。あと少しだ。固く紐で縛った箱を、穴の中に蹴り落とす。  あとは上から土をかぶせれば封印できる。上手に埋めて、プランターなどの位置をしっかり戻せばきっと大丈夫。誰にも見つからないはずだ――あの恐ろしい秘密は、けして。 ――バレてはいけない。……絶対に、絶対に……!  万が一の瞬間を想像し、歯ががちがちと恐怖で鳴る。背筋が震え、冷たくなる。  この時まだ、少年は何も気づいていなかった。それは。
/2ページ

最初のコメントを投稿しよう!