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咲きかけの蕾
時は太平洋戦争の末期であり、達夫はこの国を守るために特別攻撃隊に志願した。いや、そうするしかなかった。特別攻撃隊とは、戦闘機に弾丸を詰めてアメリカの空母に体当たりするという決して生きて帰れない攻撃だった。事情があり、達夫はその道を選ぶ他なかった。達夫は思う
お母さんが恋しかった、恋しかったよ。
新しいお母さんはとても優しかったけど……
僕は、もうこれ以上は言えないかな。
達夫は、九州のある基地に配属された。風情があり賑わいもあったがそれは本当の賑わいだったのだろうか。達夫の心は複雑だった。生きては帰れない、それは戦争相手国の空母に突入するという攻撃任務を与えられたからだ。
しかし、相手の兵達はそれによって命を失っていく、本当にそれでいいのか。
彼ら達にもお母さんがいるじゃないか。達夫はそれでいいのか。いいのだろうか。果たしてそれが正しいのだろうか。そういう世界に飛び込みつつも迷いがあった。
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