水曜日のベッド

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水曜日のベッド

底冷えの水曜日。 いつもの様に仕事へ向かう夫を見送った後、私は郊外のショッピングモールへと車を走らせていた。 曇天の空の下、車の排気ガスの臭いが鼻につく。 それを感じると、もう師走なんだと痛感する。 昔からそうだった。 澄んだ空気の中の、異質なモノが季節感を与えてくれているのだ。 小雪でもチラついてくれたら、もっと素敵なのに・・・ 私はそう思う。 駐車場に車を停めてしばらく歩くと、ハクセキレイが長い尾っぽをヒョコヒョコ動かしながら私の前を通り過ぎて行った。 ものすごいスピードで、ちょこまかと歩く姿はなんともコミカルで、私は微笑みながらその動きを観察し、動画に収める。 そして、街中の小鳥や草花に関心が無くなっていた自分に気付き、生活に追われていたことを実感する。 感情も、素直に出せなくなっていた。 そんな心の重しは、ぼっちドライブで軽くして、お気に入りのカフェで時間を潰しながら気を紛らわす。 まんざらではなかったけど、何処か無性に淋しかった。 子供がいないから? 違う。 子供が出来ないから? それも違う。 生きている気がしないだけだ。 寝具のコーナーに立ち寄って、手頃な価格のシングルベッドを眺めながら、私は気が滅入ってしまった。 自分用のベットを買おうとしている、その心の変化が虚しかった。 夫を嫌いになった訳ではない。 ただ、肌が触れ合う感覚が異質に思えて仕方がない。 それは、澄んだ空気の中の排気ガスみたいな私の感性。 問題はないはずだ。
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