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部屋にはぴちゃぴちゃという水音が聞こえる。
グチュグチュという音が響き渡る。そう、鏡は引き出しに入っているので映像は届かない。だから盗撮を今はできない。しかし盗聴はできるのだ、だからこそ聴覚だけで、リリアンが初夜に夫から酷い扱いを受けているというのを演出しなくてはいけない。
「ふっ、んん、ふっ」
「下品な声を抑えろ!」
無理です。ガリアードが俺の口の中を指でぐちゅぐちゅと自由に動いて笑っている。水音は、唾液の音でした。ガリアード楽しんでいるよ。俺はちょっとした仕返しに指をぺろっと舐めたら、ガリアード驚いた顔で指を外した。
「ふはっ」
「なんて恐ろしい、魔性の顔だ……」
おい、それシナリオにないセリフだぞ! リリアンのいやらしい顔を見て、本気で言ったよね? しかも素でガリアード顔を赤らめたよ。
「ま、まあいい、その淫らな下着を脱いで、尻を見せろ」
「……はい」
そして俺は言われたとおり、きっつい総レースのほぼ意味をなさない下着を脱いだ。そしたらガリアードが焦りだした。
『リリアン、ほんとに脱がなくてもいいよ』
「えっ」
ガリアードがこっそり耳元で囁くが、もう遅い。脱いでしまったし、リリアンはすでに先程のちょっとした触れ合いで、濡れてしまったから、また濡れたキツキツ下着は穿きづらい。そして反応している体が恥ずかしい。
ガリアードが困ったようにまた耳元で囁く。
『ちょっとだけな。精一杯、嫌だって拒んだ声を出して』
俺は頷いた。
ガリアードは俺の反応しているモノをしごいた。
「ふっ、んん」
「声を抑えろといっただろう、堪え性のない男だ」
「いやっ、やめてくださいっ」
無理でしょ、一生懸命に口を手で抑えているけど無理だ。
ガリアードの言っていることは酷いし、聞いているだけなら立派な凌辱夫だけど、触り方も優しいし、なにより気持ちいい。俺を気持ちよくさせようとしているのが、よくわかる。ガリアードの股間はもう大きくなっているが、バスローブを脱ごうとしない。
ガリアードがわざと音を立てて、キスをする。くちゅっ、ちゅっ、じゅるっと。キスをする音と、昂ぶりにはジェルを使用して、音を最大限に演出し、じゅぼじゅぼっとわざとらしくしごく。ジェルは普通の男同士の交わりに使われる一般的なものだ。あのわいせつ医師の持ってきたものじゃないからね。
無言の中、くちゅくちゅという卑猥な音だけ。でもガリアードは俺を見て、優しい顔をする。もうだめって顔で訴える、もう出ちゃう、イッちゃう。そう思った時、ガリアードの手が止まった。
「ふっ、もういいだろう。俺のを舐めろ」
「えっ」
俺は戸惑った。舐めるの? 人生初だよ。それもシナリオにないよ?
そんなことを言うくせに、ガリアードが膝まずき、俺の足をぱかっと開いて躊躇なく、リリアンのかわいい男の子を口に含んだ。俺が舐めるんじゃなくて、ガリアードがリリアンのモノを舐めだした。もうアドリブの世界が始まってしまったぁぁぁー。
「っふ、んん、っ」
「俺のを舐めながら感じるなんて、何て淫らだ」
それ、あなたです。あなたがリリアンのモノを舐めて、感じてフル勃起しているんですから! ガリアードは男を抱いたことないはずなのに、躊躇なくリリアンのモノを口に入れられるとは、すげえ。そして大きくて生温かい口がとても気持ちいい。
「あっ、あああ!」
「くっ、口で受け止めろ。飲むんだ」
お互いにやっている行為と出している言葉がトレードしている状況。だめ、このままじゃ、ガリアードの口に出しちゃう!
ガリアードの命令口調の飲めというセリフは、「私が飲むから出しなさい」という言葉に俺の中で瞬時に脳内変換された。
ごめん、遠慮なく出します! 今の状況は俺が達したと聞こえないように、かなり頑張って手で口を抑えた。
「んんん」
ごくんっ。この喉越しのいい音はガリアードさんです。ガリアードさんがリリアンの出したモノを美味しそうに飲みました。
「はあ、はあ、」
「苦しそうにしながらも全部飲んだな、うまかったか? 旦那のミルクは」
「ふっ、うっ、うう」
そっくりそのまま聞き返したいです。
俺が生理的涙を流すと、ガリアードはリリアンを抱きしめて、背中を擦る。
『リリアン、ごめんね。もう少しだよ。いいね?』
『は、い』
『打ち合わせ通り、痛い、やめてって言えるね?』
耳元で小さく話かけてきたガリアードに、俺はうなずき、了承の意味を込めてキスをした。ガリアードも俺の頭をよしよしして、俺をうつ伏せにした。
「リリアン、足を開け」
「うっ、いやですっ、怖い」
「初夜に嫌がることなど、許されない。たとえお前が第一王子と繋がっていようと、これからはそうはさせない。俺の妻になったのなら、これは義務だ。これからはお前をただの性奴隷として扱ってやる、お前なんかそれしか価値がない、一生ここから出さない。俺の体を満足させるためだけのお飾りの妻なんだからな」
こわっ、その家令が作ったセリフ、間違えずにスラスラ言えてしまうところがマジで怖い。むしろ演技しているというより、素にさえ見えてしまう。
「さあ、長い夜が始まるぞ」
そして演出音、これは予め魔導具で、ヤンとリックの交わりを録音したもの。二人には声を抑えて、やっている音だけを録音しろと家令に命令された。ヤンは恥ずかしがりながらも、すぐに録ってきますって言って、喜んで奥さんのベッドへゴーしていた。
この部屋で、今その音を流した。
ぱんぱん、ぐちゅぐちゅっ、そこにガリアードが俺を見て、紙を渡す。それは初夜で語る内容にはきついセリフだが、家令が頑張って書いてくれたものだから、俺は、がんばる。
「嫌だ、僕は、ああ! 痛いっ、痛いっ、助けて」
「くっ、きついな。こんなにきつくて、くそっ」
「あああ!」
「くっ、うっ」
「あ、あ、あッ」
二人ならんでセリフを読む。なんかシラケてきたけど、ヤンとリックのパンパンという結合の肌がぶつかり合う音がすげぇ、激しすぎる新婚カップルと思って聞いていた。
そしてラストスパートの感じる声は流石に経験のないリリアンには出せないと家令から言われて、リアルに作る予定だ。それはガリアードの昂ぶりをリリアンの足に挟んで、抜き差しをする、いわゆるすまたというやつですね、はい。
ガリアードが俺の後ろから、すでにご立派になられたものを、抜き差しする。
やばい、気持ちいい。俺のにガリアードのが擦れて、擦れて、とにかく擦れてお尻もきゅんってしてきた。気持ちいいっ
「あっ、あっ、きもちい、んんん!?」
急にキスで口を塞がれた。
「なんだと! 気持ち悪いだと!? この孔はこんなに喜んでいるのに!」
「あっ」
やべっ、思わず気持ちいいって言うところだった、ガリアードが機転をきかせてくれてキスで言葉を止めてくれた。助かった。でも気持ちいい、もうイキそうだった。ガリアードの吐息もエロくなってきている。ガリアードは、パンパン音の録音機を止めた。
「出すぞ!」
「いやああっ」
ガリアードは気持ちよさそうに、俺の股でフィニッシュを決めた。俺も同時に果てた。
「はぁはぁ、はぁ」
「まだだ、まだ終わらない」
「あああ! いたいっ、もうだめ」
「くっ、切れたか。まぁいい。妻をいたぶっているのは最高だ」
おい、このセリフ言わせるなんて、家令も酷いな。ガリアードのこんな会話を誰かにばらまかれたら、一瞬で辺境伯の評判がた落ちですから。
「いやあ、誰かっ、たすけ、て」
「くっ、いいぞ。もっと俺の精液で腹を満たせ、リリアン? もう落ちたのか。こんなにベッドを汚して、悪い嫁だ。おい、俺の部屋で続きをするぞ」
「うう、うう、もうお許しください……」
恥ずかし……、恥ずか死ぬ。ほんとに、お許しください、これ俺の本音ね。ガリアードは俺のその顔を見て大満足していた。俺を大事に抱っこして歩きだす。
「あっ」
「挿れたまま、部屋を出て、お前の侍女に確認してもらおう」
「な、にを……」
「繋がっているところをだ。これで正真正銘お前が俺の妻になったと、誰が見てもわかるだろう」
「酷い、ああ」
バタン! そしてドアを開けて部屋を出る……音ね!
そして例によって、挿れてませんから! 俺まだ処女ですからぁ!
俺は、声だけ鬼畜を装ったガリアードに優しく抱っこされて、まだ余韻の残る状態のまま身を任せた。ベッドが精液と血液で汚れたから、ガリアードの寝室に移動するという風に、処女開通式を終わらせたのだった。もちろん血なんて出ていないから、血では汚していない。けれど精液は二人分、たっぷりベッドは汚しました。ジュリ、ごめん! 後は任せた。
第一王子の鑑賞用処女開通式だから、俺こんなに乱れたけど……まだお尻は清いままでした。
初夜凌辱夫編は無事、終了だよな?
俺はぎゅっとガリアードに強くしがみついた。
この後は、正真正銘の初夜の始まり! ガリアードの部屋では誰に見られることなく、安心して処女を散らせる。さてさて、ここからは俺の社畜スキルで優しく誘導して、優しい優しい、甘くてとろける新婚初夜にするんだぃ!
目指せ、溺愛初夜。
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