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23 新婚生活
あれから、殿下からはまだ何の連絡もない。
きっとヒロインとイチャイチャしながら、あちらの物語も現在進行形で進んでいるのだろう。ちなみに父からもまだ何も動きが無いので、第一王子側にも進展はないようだった。
結婚から十日が経った。
いたって順調。殿下が帰った日にガリアードは俺を抱いた。じっくりと丁寧に。ただリリアンの体は、全てに適応するのは難しかった。気持ちいいのもあるし、心は満たされたが、ガリアードのサイズはリリアンには厳しく、あそこは数回で腫れてしまった。そこで、ガリアードが自分に治癒の魔法は使えないのかと聞いてきたので、試してみると言い治してみせた。
自分を治せると知っていたけれど、黙っていた。それを知っていたという事実があることで、リリアンの処女説をまた覆されても困る。
治癒ができるなら、もしかしたら自分を騙して後ろを使ったことがあるかもしれないとか思われたら怖い。そんな思考になるとはもう思わないけれど、ここは十八禁アニメの世界、いつ何が起こるかわからないので、細心の注意が必要だ。
「自分でお尻が治せるなんて凄い! これで何度でもガリアード様を受入れられますね」
まるで大発見したかのように閨の中で可愛く言ったら、案の定ガリアード喜んだ。
「可愛いことを言ってくれる。リリアンは自分に無頓着だね、今まで自分を癒そうと思ったことはなかったのか?」
「僕、あまり出歩かなかったしケガするようなことなかったから、知りませんでした」
「さすが箱入り公爵令息だ。これからもリリアンには傷一つ負わせない、もちろんお尻も無理をさせないよ。治せても傷ができたときは痛いだろう? 今後はリリアンの限界の前に気づくようにする」
優しい。そこからはリリアンのお尻を毎回確認して、適度なところで止めてくれるようになった。ただただ愛される行為を受け止めていた。
毎晩優しく抱かれている。
なんだか幸せな日々だった、これが新婚生活というものか。
朝は一緒に目を覚まして、朝食はガリアードがリリアンの口に運ぶ、そしてガリアードは仕事をする合間もリリアンを近くに座らせて、愛でた。新婚だということで、家を空けるような仕事はしなかった。リリアンを床に座らせて自分の膝に頭を置かせ、リリアンの顔を優しく触りながら仕事をしたり、リリアンを膝の上に載せたまま仕事をしたり、とにかく全ての時間がリリアン一色だった。夕飯も一緒に食べてから、一緒に風呂に入り、そしてリリアンを抱く。盛り上がれば数時間行為は続くけど、心地いい疲れでリリアンが眠りに落ちると、最後の後始末もしてからガリアードも隣で眠る。
そんな甘い日々。
俺は何もせず、ただこの生活を満喫していた、その間も辺境伯の屋敷のみんなは積極的に働いてくれた。
ジュリとリックは、あれから一度も使っていないリリアンの部屋の掃除をする時に必ず二人でお芝居をした。もう鏡の前でもジュリは演技ができるようになっていた。人は成長する生き物だ、ジュリの自信に満ち溢れる演技には脱帽だった。
リリアンはこの十日間、ガリアードの部屋から一歩も外に出させてもらえない。ずっとガリアードに凌辱されていて、体も心もボロボロになって、毎晩泣き声が聞こえてきて辛い、助けに行きたい、公爵家に秘密にどうにか伝えられないだろうかとジュリがリックに相談をする。
リックは、リリアンはわがままだと罵る。嫁として旦那を喜ばせるのは当たり前なのに、泣いて叫んでやめてくれしか言わない相手を、愛せないのは当たり前、むしろガリアードがあんな息子を嫁に送った公爵家に騙されて可哀想だと言った。
リリアンは部屋から出まくりだけどね! お庭でガリアードと仲良くランチ、辺境伯領を一緒に散策して、馬に乗ってデートも楽しんでいた。自由しかないけれど、第一王子に聞かせる物語は、ガリアードの寝室で軟禁されている設定。
ちなみに毎晩泣かされているのは、少しほんと。泣くといっても気持ち良過ぎて涙が出て、「もっとぉ」という可愛らしい強請る声は出しているから聞こえちゃったかな? 恥ずかしいぜ。
いつもジュリとリックが鏡の前で、リリアンについて語り喧嘩をする。そういうことを続ける、そしてリックはサービスしてきましたとある日、リリアンに言ってきた。
「えっ、鏡の前でリックとヤン、その……いたしたの?」
「はい、リリアン様の上質なベッドで従者がエッチなことで汚すという、最低なことをしてみました! あっ、もちろんガリアード様の許可をいただきましたよ? あの部屋で今後一生リリアン様が寝ることはないから、好きに使えって……もう熱いなぁ」
ガリアード、俺を離さないもんね。確かに今がアツアツなのは隠していない、俺の過ごす部屋が一生ガリアードの部屋なのは確定みたい。
「な、なんでそんなことを?」
「リリアン様が使わないベッドで、従者がリリアン様の下着を身に着けて楽しむプレイをするのって、最高に背徳感にまみれてイケナイことしている感じしません? そんなことをする従者がいてリリアン様は可哀想だって思わせようという策略です、もちろん楽しみましたけど!」
す、すごい。ヤンに俺を襲わせての乱交ナイト朗読会は、ガリアードに却下されたからって、自分たちもきっちりそこで淫乱ナイトをするなんて、凄いよ……ここの従者さんたち。しかもあの下着使ったと……。新婚用に何枚かジュリが用意した総レースのハイレグTバック。その話をなにげなくジュリと三人で話していた時にリックも欲しいなと言っていたので、新品を数枚あげた。あんな卑猥な下着、もう着けたくない。欲しい子がいるなら喜んであげた。
リック早速使った。しかも鏡の前で、凄いよこの子。
「そ、そうなんだ。二人が楽しんでシタならいいけど、そんな姿第一王子に見せていいの?」
「俺たちは人に見られる方が興奮するんで問題ないです! それに第一王子、リリアン様以外のエッチも覗いているのは常習犯っぽくてもっと罪も深くなるでしょ。俺たちのエッチシーンだけでも十分リリアン様をバカにしている辺境伯の人々って印象に繋がって、早く公爵様に告げ口してくれるかなって思ったんです」
変態だ、ここにも変態はいた。人に見られる方が興奮する。凄い、凄いぞ、十八禁アニメの現場は、わき役も十分卑猥だった。可愛い顔して言いきっていた。
「そう、でもあまり無理しないでね。僕たちのために協力してくれてありがとう」
「いえ、当然です!」
「みんなが影で頑張ってくれるから、僕も嬉しいよ。ガリアード様も凄く優しいし、幸せだな、いつもありがとう」
リリアンは、オスニアン家で働く人からも愛されていた。アニメとは全く違う新婚生活を送れている。すべてがちょっとずつ物語もいい方へ進んでいる、けれど、第一王子が行動を起こさないことに、少し苛立ちと不安があった。
愛にかまけて、すっかり社畜根性を忘れて、だらだらと平和な日々を過ごしていた。こんな日々が続けばいいのになぁと幸せに浸かっていた、職務怠慢はしばし許してほしい。
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