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37 凌辱の定義
あれからすぐに俺はガリアードに抱っこされて、公爵家に帰ってきた。
怖い体験をしたので、腰を抜かして動けなくなってしまったのだよ.
社畜スキルはあの時ばかりは全く出てこなくて、ガリアードの言うままに凌辱は進んだ。でも結果、二人で自慰して“かけっこ“しただけだったんだけどね。
今はお風呂も済ませて、お互い清い香りになってベッドの上で寝転がっている。
「あの……」
「どうした?」
「もう、怒っていませんか?」
「ああ、先ほどは怖がらせてすまなかった。リリアンが兄に抱きしめられている現場でも剣を抜くほどだった。あの時は兄だと後でわかったから申し訳ないと思ったが、今回は鏡でリリアンの痴態を見る変態が相手だ。あの場で殺さなかったのは、王子だからだ。ただ怒りは収まらず、君をどうしても私の匂いで包みたかった」
「……」
文字通り、精液の匂いに包まれたよ、俺。
マーキングがしたかったんだね! そして王子のこと変態って言っているけど、俺の旦那の方が変態度は高い気がするのは気のせいでしょうか?
あんな行為する人いるんだって、驚いたよ。凌辱って言ったらさ、普通レイプでしょ。卑猥なおもちゃ使うとか、いたぶって泣かせてガンガンに突くとかじゃないの? アニメのあなたはそういう凌辱していましたよ。アニメの世界でもやらなかったことしないでよ、ノー知識で俺、固まったからね。
まさかお尻が無事パターンの凌辱もあるんだね、って驚きだったわ。
もしや、アレは凌辱では無かった? あれれ? そういえば、俺痛めつけられてはいない。なんならナニも挿入ってこなかった。本能では、ガリアードは溺愛ルートに入らなかったら凌辱夫になると思い込んでいるから、少しでもガリアードから「俺」が出てくると凌辱始まった!? ていう具合にパブロフの犬状態な俺だった。
なんかごめん、俺ガリアードのこと何かっていうと凌辱夫にしてしまうけど、今度からは変態夫に昇格してあげるよ。
「リリアン、愛してる」
「僕も」
そこでキスが始まる、まぁやってしまったものは仕方ない。考えてもよくわからないし、もう怒りも収まったみたいだし、二度とあんな行為がないように、これからはあざとくするのはやめようと心に誓った。
「もう演技でも私以外の人に抱き着かないでくれ」
「言い訳に聞こえるかもしれませんが、僕からは抱きついておりません。第一王子がいきなり抱きしめてきて、力が強くてはがれなくて……ぼく、気持ち悪かった! ガリアード様以外に触られて本当に気持ち悪かったですっ」
「リリアン!」
はい、強い抱擁。これだよ、こういう想い思われる関係だからこその抱擁。あれ、これ俺ってあざとい? でも本心でキモ王子、マジできもかった。ガリアードの雄っぱいはやはり落ち着く。
「ガリアードさま、僕を抱いてくださいませんか? あの部屋ではそこまではしてくれなかった……」
「ああ、さすがにあそこではな。君を抱くときは、私が唯一無防備になる時だ、だから自室でしか今までもリリアンを抱いていないだろう?」
そうなんだよ、あんなガッツリ抱き続けてきたガリアードが、俺を抱いてない。旅の途中はなんとなく疲れとかリリアンの体を考慮してくれたのは分かったけど、今はリリアンの実家だよ、部屋も夫夫が泊まれるように気を使った配置の場所を用意してくれているのに、どうして抱かないんだって思っていた。
「えっ、この旅で一度も最後までしてくれなかったのはそういう理由なんですか?」
「そうだ、たとえ公爵家だろうとも無防備になれない。最も安全なのは辺境伯の屋敷の私の部屋だけなんだ。だから煽らないでくれ、私も先ほどは溜まりすぎて爆発したが、君の可愛いお尻は守った」
お尻は守った、何から? あなたは何と戦っているのですか?
「えっと、王都は危険じゃないですよ?」
「そんなことはない、リリアン。私はいつなんどきも君を守らなければならない。閨でも君以外が相手なら私はとっさに対応できるが、リリアンだけはダメなんだ。君の中に挿入ると夢中になって無防備になってしまう。だから自分のテリトリーでしか抱けない」
「テリトリー……」
お前は野生か!? テリトリーってなんだ。動物か!? まあ仕方ない。明日には王都からも出るし、もう少し我慢だ。
「ガリアード様、リリアンはガリアード様に大切に思われていて幸せです。ただ口づけだけは深いのをしてください」
「ああ」
そうして深い深いキスをして、その日は眠りについた。
しかし凌辱とは、何だろう。
ガリアードは変態であって凌辱行為はしないのだろうか。俺は安心していいのだろうか? ああ、スマホがあれば何でも調べられるのに! 俺みたいな可憐な男の子が凌辱ってどんな行為ですか? なんて聞いたら、夫がまず疑われてしまう。そしてそんなことを夫に聞いたら、凌辱魂に火がついて試してみるか? なんてことになっても困る、フラグは作らないゼッタイ!
こうやって妻の実家で我慢するような忍耐は持ち合わせているのに、どうして王子が抱き着いた一瞬の行為には忍耐を示せなかったのだろうか? 俺はガリアードを過剰評価していたようだ。こいつは妻を大事にすることはできても、妻が他の誰かといいことしようとしてなくても、そう思い込んだだけで人が変わる、というか本性が現れる男なんだ。
とにかく嫉妬させてはダメ、ゼッタイ! どんな貰い事故でも許してもらえない、それが男ガリアードだった。
俺はもんもんとガリアードの雄っぱいの逞しさに包まれて、いつの間にか今日の不条理な出来事は浄化されていたのだった。
「雄っぱい……むちゃむにゃ」
「リリアン、愛してる。早くあなたの中に入りたい、くそっ」
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