40 最終指示

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40 最終指示

 やっと帰ってきたと言えるほどに、俺の住むべき場所はもうガリアードの治めるこの土地なんだ。  父たちへ夜会報告を済ませて、殿下の訳のわからない作戦を聞いて、そして俺たちは王都をでて辺境伯領へと帰ってきた。  あれから時間もなく、第二王子と父でその後の詳しい作戦を練ると言っていた。きたる第一王子の指定したXデーに備えて。それもあり、その日までにリリアンのあの部屋にたどり着くために早々と王都を出てきた。  俺たちは相変わらず仲良くしている。  ガリアードは辺境伯領という自分のテリトリーに戻ってきたことで、安心したらしい。  なぜなら屋敷に帰ってきたと同時に、使用人たちへの挨拶も目で合図。それだけでみんな察してくれて、っておかしくない? そのまま有無を言わさず抱っこして部屋に連れていかれて散々抱かれたからだよぉ。俺まで激しく興奮しちゃったぜぇ、この野郎!  久しぶりで少し苦しかったけれど、それはリリアンの魔法でお尻のヒリヒリを治しては、何度も何度も繋がった。変なプレイに目覚めたらどうしようと思ったけれど、そんなこともなく、以前同様優しかった。とにかく怒らせなければ変態は現れないと学習をした。  ガリアードも俺を汚したことで満足したらしい。あの行為は俺たちが夫夫(ふうふ)として円満に続いていくための大事な儀式だったことにした。  たまにはリリアンを支配しているという満足感を与えてあげなければいけないみたいだ。凌辱に変わる支配者としての何か別の方法を考えなければいけないなと俺はひそかに思っていた。  そんな穏やかで愛に包まれた日はあっという間に過ぎて、突然その日はきた。 「よっ! 愛され妻」  俺とジュリは、仲良く辺境伯のお屋敷のお庭で、庭師のトムの孫と泥遊びならぬ、お花の手入れをしていた。最近はこの辺境の地を念願の夢の国にしようと、俺は日々トムと木を夢の国の動物の形にする訓練をしていた。なかなか難しく無難にハート型にしたら、お孫ちゃんが喜んだ。そしてそんなことをしていた午後の穏やかな時間に、嵐のように現れるいつもの男。  ほら、トムがまた腰を抜かしたじゃないか! 可哀想に、俺は手を貸してトムを起こしながら、悪の元凶を見た。 「……殿下、またそんなところから」 「いつだって俺の座標はトムだからな、なっ友よ!」  トムが腰を低くしていた。そりゃ、一国の王子となんて庭師が簡単に話せるわけがない。  殿下が、トムの孫に籠いっぱいのお菓子とおもちゃを渡していた。お孫ちゃんはとても喜んでいて、殿下も抱き上げて可愛がっていた。そんなものまで持って移動できるんか―い!?  トムはまた頭を下げていたよ。でも孫に色々もらって嬉しそうにしていた。良かったね、トム!  そしていつも通り我が物顔で、応接室でリックの淹れるお茶を飲みながら、リックのお尻を触ってバッチーンと頬を叩かれていた。リックの叩き方がレベルアップしていた。 「殿下、方向性が決まったんですね?」 「ああ、決まったよ。今度は公爵もアンディも賛成してくれた」  ガリアードは仕事で屋敷に居なかったので、俺とリックと家令のリチャードとジュリで話を聞いた。そして驚くような指示が出た。 「えっ、そんなことを?」 「あぁ、こういう凌辱シーンなら良いそうだ。まぁ見たくはないが、辛うじて許せるという言葉を、リリアンの家族からもらったよ」   俺は言葉を失った。  お、お、王国の花と呼ばれる可憐なリリアンに何をさせるんだぁぁ!? 俺は口をパクパクとしてしまい、言葉がでてこなかった。そうしたらリックが俺の代わりに言ってくれたぜ! 「なんて破廉恥なことを考えるんですか!? リリアン様にそんなことをさせるなんて!」 「仕方ないだろう、一回は凌辱シーンを見せて騙さなければならないんだから。でも喜べ! この一回で終わるからな」  そこでジュリが興奮する。 「いえ、これはチャンスです。リリアン様の凌辱シーンでざまぁまでできちゃうなんて! きゃっ、すごく楽しみです」 「さすがリリアンの侍女だな、話がわかる。ってざまぁってなんだ?」 「それはですね……」  ジュリがざまぁの説明をしていた。そして、殿下大笑い。 「ジュリ、ざまぁいいじゃねぇか! だったら俺がとっておきのざまぁにぴったりの人物を揃えておこう、あぁ兄上が堕とされるのは楽しみだ。散々人をいたぶったなら、自分もいたぶられなくちゃダメだよな」 「まぁ、殿下はいったい第一王子に何をしようとなさっているんですか?」 「それはその時までのお楽しみだ。とにかく、リリアンわかったな? ガリアードにはお前から説明しておくんだ、じゃあな!」  俺に無理難題を言って、さわやかに帰っていった。  どうしよう、どうガリアードに言おう。ガリアードがそれに賛成するとも思えない。そんなことを話したら、ジュリとリックはガリアードなら喜んでやると思うと言った。そしてリチャードも笑顔で頷いた。  俺の旦那の性癖、バレ過ぎじゃない?  俺はそこまで酷い人だとは思ってないのに、辺境伯の屋敷の人間には変態伯に見えていたなんて……旦那に少し同情した。  そしてその夜ガリアードに、殿下から言われた指示を伝えたら、それは楽しみだという言葉をもらった。  ん、楽しみと言ったか?   どうしよう、俺の旦那の第二の扉が開かれてしまう。俺、そんな凌辱シーンを演じてその後、無事でいられるのかな? ちょっと自分のメンタルが持つか不安になってきた。
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