お菊神社のアオヤマ

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お菊神社のアオヤマ

武はアオヤマに会うために猫について行った。武と猫は、武の母の実家から30分くらい歩いてお菊神社に到着した。 「ここか?」と武は猫に聞いた。 「そう。お菊神社」 ※お菊神社は「播州皿屋敷」の主人公の「菊姫命」が祀られています。十二所線沿いの「十二所神社」に併設されています。 「お菊さん、祀られてるんだ。すごいな」 「まあな。それくらいお菊さんは重要なんだ」 武と猫がお菊神社の境内に入ると、三毛猫が社殿の横に座っていた。 多分、この三毛猫がアオヤマだろう。 「よお、アオヤマ。助っ人を連れてきたぞ!」と白猫のムハンマドは言った。 アオヤマらしき三毛猫は手を上げて、ムハンマドに応えた。 武は初対面だからアオヤマに簡単な挨拶をした。 「はじめまして。僕は山田武。お菊さんのことで聞きたいことがあって、ここに来たんだ」と武は三毛猫に挨拶した。 「あー、お前が武かー。本当に猫語が分かるんだな」アオヤマは驚いて言った。 この辺りには猫語が分かる人がいないのだろうか? 「そうだよ。この辺りには猫語が分かる人はいないのか?」とムハンマドはアオヤマに聞いた。 「いや。いるけど、あまりここには来ないな。それにしても、久しぶりに猫語が分かる人間と話した」とアオヤマは言った。 「こいつは天才型クローンだから頭いいぞ。武がお菊さんのことで幾つか解決策を考えたんだ。確認したいことがあるみたいだけど、いいかな?」 「もちろん」とアオヤマは言った。 アオヤマは好意的なようなので、武は自分が考えた解決策を説明し始めた。 まず、武が考えたお菊さんに関する仮説は以下の5つだ。 ・仮説1:お菊さんがこの世には9枚しか皿がないことを知っている ・仮説2:お菊さんは行動可能範囲がごく限られた地縛霊である ・仮説3:弾四郎が隠した皿がどこかに存在する ・仮説4:お菊さんは皿の色、図柄のみを把握している ・仮説5:お菊さんは皿の構成成分の情報を把握している 仮説1~2はアオヤマが知っているかもしれない。 武はアオヤマにお菊さんの状況を質問した。 すると、アオヤマはしばらく考えてから言った。 「仮説1はないと思う。お菊さんが9まで数えた後に青山家の人間が「10」と言うと、お菊さんは数えなくなるからな」 「そうすると、お菊さんは皿の数を知らないから、毎回数えているということかな?」と武は聞いた。 「そうだと思う。もし、お菊さんが『この世には9枚しか皿がないこと』を知っていたら、わざわざ数えない。『いちま~い、にま~い』じゃなくて、お菊さんは『最後の1枚どこだー?』って言うはずだ」 「確かに、それはそうだな。じゃあ、仮説1は除外しよう。次の仮説2はどう?」と武は次の質問に移った。 「お菊さんの移動距離はそれなりにある。このお菊神社から姫路城のお菊井戸まで移動するから、直線距離で1kmはあるかな?そんな巨大な防音施設を作るのは無理だぞ」 「この神社から移動して姫路城に行くの?」 「そうだ。皿の数を数えるのは姫路城のお菊井戸なんだけど、皿を数えていない時はお菊神社にいる」 「え?今ここにお菊さんいるの?」 「いるよ。見る?」とアオヤマは言った。 まさかここにお菊さんがいると思っていなかった。 いきなりお菊さんを見るかと言われても、心の準備ができていない。 お菊さんを見ていいものかどうか・・・・。 「呪われたりしない?」武は三毛猫に聞いた。 「大丈夫だ。お菊さんは皿を数えるだけだから、基本的に害はない。少なくとも、俺はお菊さんに呪われた人を見たことない」 武は一人だと怖いから、猫のムハンマドを誘って社殿の中を見た。 中には白い着物の若い女性がいた。綺麗な女性だった。 「へー、綺麗な人だなー」 武が言ったら、中にいたお菊さんと目が合った。
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