夏祭はもう終わり(2015年8月)

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☆☆ 「トウキビ食うか?」 「……焼きそばまだ食べてるので…あっ待って! あちこち行かないでよ!」 「なんで。祭りだぞ?」 「なんでって…おじさんが探せないじゃない」 「アイツも大人だから大丈夫。あ、飲み物いるよな何飲む?」  なんなの⁈  大人のクセに、全然ジッとしてない。もうさっき電話した通りから離れてしまったし、次々何かボクに食べさせようとしてくる。出店の食べ物って、ママが怒るからあまり食べたことないけど、食べたら美味しい。だからもらったら食べちゃう。ムカつく。  一弘さんは真っ青なジュースをボクに渡してきた。なにこれ。 「んな目で見るなって。ブルーハワイ。なんかわからん味だけど美味いから」 「……飲んでいいものなの?」 「さすがに飲み食い出来ないもんは渡さないって」  ママなら絶対ダメって言う色のジュースを飲んでみた。甘いソーダだった。何味かはわからない。 「な?」 「……うん」 「やーれやれ、やっと機嫌直してくれたなぁ」 「え」  一弘さんはニコッとした。  いい笑顔。  そう思ってしまったことにムカついて、歩道のヘリにしゃがんだら一弘さんに「スカートめくれてんぞ」と言われてスカートを整えて足を閉じて、ますますムカついた。 「何だよ、また機嫌悪くなったなぁ」  一弘さんは勝手にボクの隣にしゃがんだ。 「お前、陣内のこと大好きなんだろ。でも心配すんな、オレお前のおじさん取ったりしないって」  ……だからムカつくんじゃん。  でもコレは言えない。そう約束した。  だからもっとムカついて、ブルーハワイをズルズル音を立てて飲んだ。
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