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☆☆
「トウキビ食うか?」
「……焼きそばまだ食べてるので…あっ待って! あちこち行かないでよ!」
「なんで。祭りだぞ?」
「なんでって…おじさんが探せないじゃない」
「アイツも大人だから大丈夫。あ、飲み物いるよな何飲む?」
なんなの⁈
大人のクセに、全然ジッとしてない。もうさっき電話した通りから離れてしまったし、次々何かボクに食べさせようとしてくる。出店の食べ物って、ママが怒るからあまり食べたことないけど、食べたら美味しい。だからもらったら食べちゃう。ムカつく。
一弘さんは真っ青なジュースをボクに渡してきた。なにこれ。
「んな目で見るなって。ブルーハワイ。なんかわからん味だけど美味いから」
「……飲んでいいものなの?」
「さすがに飲み食い出来ないもんは渡さないって」
ママなら絶対ダメって言う色のジュースを飲んでみた。甘いソーダだった。何味かはわからない。
「な?」
「……うん」
「やーれやれ、やっと機嫌直してくれたなぁ」
「え」
一弘さんはニコッとした。
いい笑顔。
そう思ってしまったことにムカついて、歩道のヘリにしゃがんだら一弘さんに「スカートめくれてんぞ」と言われてスカートを整えて足を閉じて、ますますムカついた。
「何だよ、また機嫌悪くなったなぁ」
一弘さんは勝手にボクの隣にしゃがんだ。
「お前、陣内のこと大好きなんだろ。でも心配すんな、オレお前のおじさん取ったりしないって」
……だからムカつくんじゃん。
でもコレは言えない。そう約束した。
だからもっとムカついて、ブルーハワイをズルズル音を立てて飲んだ。
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