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身体のだるさはますますひどくなり、よれよれとソファーに座り込む。
「ん?」
ソファーの背もたれの隙間に、見慣れた水玉柄が見えた。
「うそお」
引っ張り出すと、それは私が先ほど探していたパジャマの上下だった。
「なんでこんなところに……えっ」
水玉の袖口から大量の蟻がバサリと膝の上に落ちた。
「なんじゃこりゃーーー!!」
自分の声で目が覚めた。
「……蟻の呪いか、うっ」
娘の踵が腹部に直撃した。苦しみに耐えていると、娘がむにゃむにゃと寝言を言った。
「……ママ、壁に幽霊が沢山いるよ」
また、悪夢を見ているらしい。娘はそのまますやすやと寝息を立て、にやりと笑った。
「寝たふりしてるの?」
返事はなく、しばらくしていびきが聞こえて来た。
「ああ、確かにね」
街灯の光が壁にカーテンの影を作った。ゆらゆらと揺れて人の形になる。
「幽霊の正体見たり……あれ」
黒くて小さなものが壁を這っていた。
了
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