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物騒な言葉に尚登はおいおいと言葉を上げたが、まだヒンズープッシュアップの最中だ、村上に集中しろと怒られた。
「腕力があればなおいい、これが終わったらバーベルを使ったエクササイズをしよう」
「うん!」
楽し気に話している陽葵たちを見て尚登はうんざりする。
「──ったく、なんであのふたりが仲良くなるんだか」
これまでの態度とぼやきを聞けば過去になにがあったかなど想像に難くない、ただ村上は微笑む。
「そばにいていがみ合われるよりいいんじゃないの?」
「まあ、そうですけど」
だからこそ早く帰れと航空チケットまで渡していたのにである。
「にしてもおしゃべりしながらなんて余裕だね、あと5回やってインターバル入れようか」
「え」
「うんうん、やっぱり高見沢くんはすごいやあ。今からでも本格的にスポーツ始めたら、いい結果残せるんじゃないかなあ」
カウントする村上を前に真面目に全15回のヒンズープッシュアップをこなし、さすがにマットの上に座り込む。
「村上さん、時々鬼になる」
「つい期待値上がっちゃって。お疲れお疲れ、ちょっと長めのインターバル入れようか」
村上が笑ってペットボトルを渡した時、
「ねえ、尚登くん、首絞めさせて」
陽葵が明るい声で言った。
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