1349人が本棚に入れています
本棚に追加
/178ページ
「女でも男にやりやすいのは、Sleeper hold」
ジェニーがその技を陽葵にかけた、もちろん実際に締めはしない。
「首に回した腕で相手の首を両脇から締める、手は握手すれば解けない。きちんと締めれば10秒もあればおとなしくなる」
「──なるほど」
ジェニーの細い腕がしっかりと首に回り、ここだと言わんばかりにキュッキュッと締められ陽葵はやや焦る。
「今、肘は首から離れているけど、この隙間を無くせばBack choke」
その隙間を埋めた瞬間判った、それは完全に首を絞め気管を塞ぐ行為だ。もちろんジェニーは力を入れたりはしていないが。
「苦しくて暴れるから注意。自分も怪我をする」
陽葵はコクコクと頷いた、暴漢に対抗するために身に着けたいのに余計に暴れさせてはいけない。
「殺すなら、おとなしくしてから」
ジェニーがとんでもないことを言うと、
「ジェニー、ほどほどにな。ここ、日本だし」
尚登がすかさず言葉をはさむ。
「でも田辺以上の狂人だった場合、手加減すれば自分の身が危うくなる。いざという時には必要な知識」
まあそうなんだが、と全員が思う。
「んー、さすがに2週間監禁された後だったら正当防衛も通用しそうだけど」
陽葵はにこりと微笑み答えた。
「とりあえず失神させて、すぐに尚登くんのところに行くね!」
現にそう思ったのだ、田辺から鍵さえ奪えればあの部屋から出られると──明るい笑顔と声に、尚登は崩れマットに突っ伏し、ジェニーも大きなため息を吐き腕を解いた。
最初のコメントを投稿しよう!