白い壁の傷

第6章

　それから13年後、僕は再び三春を訪れた。そしてあの社の中の地下への階段を下った。しかしそれは13段で終わっていて、その先は大きな白壁が僕の行く手を遮っていた。僕はその壁に近寄り、それを拳で何度も叩いてみた。しかしそれはびくともしなかった。その壁には小さな傷がたくさんあった。誰かがその壁を壊そうと試みた痕かと思った。しかし目を凝らして見ると、それらは美桜という名前がたくさん刻まれた痕だった。