恋の終わり

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じっと、彼の大きな瞳が私の姿を捉える。時が止まるという感覚を、初めて体感したかもしれない。 「髪、切りました?」 「へ?」 思わず、喉の奥からマヌケな声がでてしまった。それと同時に、今まで堪えていた感情が溢れ、目元が滲む。 「あははっ、すごい。ほんのちょこっとしか切ってないから、誰にも気づかれないと思ってました」 バレないように、私は口元を隠す振りをして顔を覆った。生ぬるい体温が、頬をつたう。 「おっ、やっぱり!そりゃあ毎日顔合わせてれば気づくよ」 ははっと、歯をむき出しにして笑う彼の目尻には、やはり数本の皺が寄っている。それを目にした瞬間、すべてを諦めた。 どう足掻いても、私はこの人のことが好きなんだ。
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