極道の推し活、始めました【完】

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そんなことがあったからといって…簡単に会えるような人では無いのだということをすぐに思い知ることになった。 っというのも、あの日以来同じような時間に家の周りをウロウロしてみたり、時間をずらして前の道路を行ったり来たり。 あの手この手でお屋敷の周りを徘徊したが、仁睦さんに会えることはないまま…気が付けばあれから一ヶ月が過ぎようとしていた。 「………は?なにそれ、妄想?」 一ヶ月も経てば時効かと思い、夏休み明けの大学の食堂でお昼を食べている際に友人たちの前で仁睦さんとの出会いを暴露した。 妄想では?っときつい口調で言ってくるのは、小学校からの親友である紗弓(さゆみ)。ハキハキと物を言うタイプの彼女はいつも私に鋭いツッコミを入れてくれるので大好きだ。 「妄想じゃなくて、リアルだよ!だって未だ私の部屋には推しの尊いスーツのジャケットが」 「っげ、それ借り物なんだよね?!まだクリーニング持って行ってないの?!返す気ある?」 「あ、あるに決まってるじゃん!その為にこの一ヶ月家の周りをウロウロ、、」 私と紗弓のやり取りを見ていた数人の友人たちが声を揃えて「それ、ストーカーでしょ」と言ってくるので慌てて席を立って全否定する。 「ストーカーじゃなくてっ、これは推し活!」 って、その前にお礼が言いたいだけで…会ってからジャケットの返却方法を聞いて、その後でクリーニングに持っていくつもりだから…別にわざとクリーニングに出していない訳じゃなくて!─…ほらクリーニングって言っても撥水加工とかなんか色々ジャンルあるし?ちゃんと聞いてからじゃないと後で怒られても怖いし─… っというのはただの口実で、更にもう一度会うためにあえてクリーニングに出していないだけだということは伏せておこうか。
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