極道の推し活、始めました【完】

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急に不安になってきて、未だとんかつ定食を頬張っている紗弓を放置して帰宅準備を始める 「……え、帰るのっ?!」 「ん…ちょっと不安なことがあるから、」 「なにっ、不安なことって…」 まさに今話していたアロマキャンドルを消し忘れた気がするなんて言葉にする勇気はないので愛想笑いをして手を振り…走って大学を後にした。 駅について、タイミングよくやってきた電車に乗り込み…自宅アパートが無事であることを祈りながらひたすら家路を急いだ。 最寄り駅に到着し、すっかり見慣れた家の近くの道路を走っていると、サイレンを鳴らした消防車が私のことを追い越していった。 ──…どうか、左折しないで!!! っと、願う思い虚しく…消防車は私の自宅アパートの方向へと曲がっていってしまった。近づくにつれて視界に入ってくる黒煙。焦げっぽい匂いと避難してきた住人の姿。 その中に一人、見覚えのある女性を見つけた。
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