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心配だったアロマキャンドルは…しっかり消えているのが確認できて、この火災が私の過失によるものではないということにとても安心した
戻ろう、っと立ち上がったとき足元がふらついてその場に倒れた。ベランダの窓を開けっ放しにしてはいるが…そのせいもあってか扉の向こうから黒い煙が隙間からもくもくと入り込んできている
──…苦しいっ、
あと数歩で出られるのに、身体を起こすことが出来ない。思ったよりも煙を吸い込んでしまったのか、喉が痛い…息ができない。
っとはいえ、消火活動が続いているのは確実だ。そのうち私のことを誰かが見つけて保護してくれるはず。…人間は、簡単には死なない。
私は過去に一度、それを経験してっ、
ガシャーンっ…と、ベランダの窓ガラスが完全に破壊されたような音が響いて…思わず手に持っていたジャケットを抱きしめて目を閉じた。
爆発でも起きたのかと、いよいよ人生の終わりを覚悟した時─…薄らと開いた視界の中で、推しである仁睦さんの姿が映ったような気がした
「─……死ぬな、お前を殺すのは俺だ」
薄れゆく意識の中、そんな理解し難い言葉が降ってきて…今ここで死んだらその後でもう一度私は殺されるのか?っと、最後の言葉にしてはモヤモヤが残るような謎のやり取りを交したところで…私の意識はプツリと途絶えた。
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