極道の推し活、始めました【完】

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ハッと、息をするのを忘れたみたいに…呼吸が止まった瞬間、、目が覚めた 夏になると嫌でも思い出すあの日の出来事。夢に見るのが怖くてこの時期は寝不足になることが多かった。紗弓は小学校からの友達なので…もちろん全て知っている。それでも私を”かわいそう”だと言ってきたことは一度もない。 あの日私自身頭をかち割って何針も縫う大ケガを負っていた。その時の縫い傷は今もおデコの端っこの方に痛々しく残っている。 小学生の頃の私は、その傷を見る度に切ない顔をする友人の姿を見るのが嫌で─… 『この傷は闇の帝王につけられた名誉の負傷なのだよ。愛の印っ!無敵の象徴!』 某魔法使い映画の主人公と同様の傷だと言って笑って見せれば、”ヒラリー・ポッター”なんてあだ名をつけてくれるノリのいい友人に囲まれて、私自身強く明るく元気に育つことができた ─…なんて、一人感傷に浸っているときだった 突然、視界に映りこんできた一人の男。驚きのあまり声をあげそうになったが、味わったことの無い喉の痛みに襲われ、思わず咳き込んでしまった。 「よぉ、クソガキ。気分はどうだ?」 低い声を出して私に威嚇してみせるその男のことを私は知っている。一度しか会ったことはないがその一度があまりに衝撃的だったため忘れることなんて出来なかった。
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