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そっとその手を掴んでみると、一瞬推しが顔を歪めたのでその隙に掴んだ手を黒い塊と共におデコから心臓のある場所へと移動させる。
「撃たれたいのは頭じゃなくて、こっち!心臓をズッキュン、」
カチャ…っと、音がしてこれは笑えない状況なのではないか?と今になって冷や汗をかいた
「あ、あああああああの…冗談です、すみません嘘です、許してくださいっ、」
「……で?言い残すことは、それだけ?」
──こ、コロされるっ!!!
しょーもない人生だった。誰に何を誇れることも無い、人並みの…いや、人並み以下、、
「最後に─…名前を聞いてもいいですか?」
来世、生まれ変わった時に貴方を探し出すために…どうしても最後に名前を聞いておきたかった。それは復讐をする為なんかじゃなくて、ただもう一度、違う出会い方をして…ちゃんとお礼が言いたかった。………なんてね。
本音を言えばただ顔面がドストライクだったので、どこかでまた会えたらなぁってそんな不純な理由だったり、、。
「──名前?なにを今更っ、」
「仁睦さん!!!」
銃口が心臓にキツく押し当てられた直後、御屋敷の方から焦ったような声が飛んできて…目の前の推しは壮大な舌打ちを打って私から離れた
──…にちか?
この人の名前なのだろうか?だとしたらなんていうか…とても似合っていると思った。
目鼻の整った端正な顔立ち、月明かりに照らされた白い肌は女性の私から見ても羨ましくなるほどに綺麗で─…肌の白さを際立たせている漆黒に近い黒髪は、形のいい切れ長な瞳を隠すように前に降ろされている。
仁睦さん、、名前まで素敵…一生推せる。
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