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「ねえ変だよ。どうしたの?」
「変じゃないよ。変じゃないけど、うまく言えなくて、でも大事なことだからうまく言いたくて……はは。やっぱり変かも」
君は笑ってくれた。だからますます在り来たりな言葉を返したくなくなってしまう。壁は高くなる一方。
黙りこくったまま君の目を見ようともせず、見たこともない色の二枚貝についた砂を指の腹で払い続ける僕は、心底意気地が無いのだと思い知った。
「リンちゃん」
「なあに」
「好きです」
「僕も」
「だからね、また来よう」
「また?」
「また。ずっと一緒ね」
「うん」
君はいつも僕の言葉を引き出してくれる。愛に国境は無いと言う人たちがいるけれど、その表現は不完全。国境を超えて愛せても、愛し続けるためには互いの国の言葉が必要であることを僕は知っている。
──この熱さも、深さも、僕の言葉じゃ届かない。いつかはきっと色褪せてゆっくり冷たくなってしまう。朽ちた珊瑚が白砂に変わるように。
それでも今日も焦がれてる。この感情を説明できない悲しさを、切なさを、こんなにストレートな言葉でしか表現できないやるせなさを──確かに在ってゆるぎない色んな事情を差し置いて、それでもやっぱり君が好き。
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