20人が本棚に入れています
本棚に追加
/25ページ
そしてひとつの扉の前で止まった。
「ここがお前の部屋だ。」
「…へ?」
またもや間抜けな返事しかできなかった。
ココガオマエノヘヤダ?
脳内変換が追い付いていないが、彼は扉を開けた。
「少し狭いかもしれないが、我慢してくれ」
俺がフリーズしていると、どうした?と声をかけてくれた。
「な、なんで…。」
やっと言えた言葉はこれだった。
「は?お前どこで暮らすつもりだったんだよ。当てもないくせに」
「え、あの、俺って海に沈められるんじゃ…」
すると、彼はふっと、一瞬だけ笑った。
「お前、ここまでしてやったのにまだ殺される気でいたのかよ?」
「え、違うの?」
「ああ。めんどくせえ」
俺の頭にポン、と手を乗せて部屋を出て行ってしまった。
なんだか安心する香りがした。
「あ、ありがとう!」
もう見えない彼に向かって、お礼を言った。どうやら俺は殺されないらしい。
最初のコメントを投稿しよう!