20人が本棚に入れています
本棚に追加プロローグ
教えてほしいことがあるのです。
人間はなぜ働くのですか?
毎日のように学び舎に行くのはどうして?
今日と明日の食い物があれば、仕事も勉強も必要ないと思うのに。
最初はちょっとした好奇心でした。人間を見つめるようになったのは。
人は辛いときや哀しいことがあると、泣いたり落ち込んだりしますよね。
それでも人はやがて上を向き、二本足ですっくと立ちあがる。
辛いなら、じっとうずくまり休んでいればいいのに。
なぜ前を向こうとするのでしょう。
そんな人間が不思議で、わざと転ばせ、鎌で足をちょんと切りつけたこともありました。
ちょっとした悪戯です。悪気はありませんよ。少し休めばいいと思ったのです。
ところが人間は、それでも歩むことを止めないのです。
「痛い」と言いながらも、自らの手で傷口を押さえ、また歩き出すのです。
驚いた僕らはぬり薬でそっと、人間の傷を癒してやりました。
傷を負い心に痛みを抱えながらも、人間は再び立ち上がり、また歩き始める。
僕らはそんな人間を不思議に思いながらも、どこか憧れていたのかもしれません。
教えてください。
半端者の僕らが、人間のように強くなれる方法を。
人間の心に寄り添うことができたなら、僕らにもわかる日がくるのでしょうか──。

最初のコメントを投稿しよう!