プロローグ

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プロローグ

 誰もが「いい人」でありたいと願うのはごく自然の心理だろう。  それはでも、涎を拭いてくれたり、明日の着るシャツを用意してくれたり、部屋を掃除してくれたり、ずらずらと世話を焼いてもらってるからだ。身の回りの瑣事さえなければ基本あんたらの思い浮かべる「いい人」になれるんだろうさ。  …………いや、これは流石に言い方が出張り過ぎたな。あぁ〜失敬しっけぇ〜。親に感謝のかの字も抱かない無礼者だと非難されるところだった。  まあ、それももちろん大事なことなんだけど、1番に訂正しなきゃいけないのは人から尽くしてもらうだけで「いい人」になれる訳がないということ。  うん、真逆だ。1人じゃ何にも出来ない社会不適合者の誕生だ! 相手の顔色伺ってありとあらゆる決定権を委ねる、そんな奴にしかなれねえ。改善せずに社会人になりゃ配置場所に困る腫れ物扱い。そこで大抵なら追い込まれて、無気力で溢れて、まともな生活も送れなくなるだろう。  もう何もかも諦めろ…………。  ………………ウソッ! 冗談に決まってるだろうぅ〜! 誰しも器用に世の中を渡っていける訳がないんだからさ、それならそれなりに自分に合った生き方を模索すりゃいい話さ。  これから説明するのはあくまで俺個人のやり方、はっきり言って愚案だけど、もしもの最終手段として活用したらいいさ。  ずばり………………「人の顔色を気にしない」さ。自分は仕事を精一杯やってるつもりなのにうまく結果に結びつかない、処理速度に差を感じ始めた頃に周囲から陰口やダメ出しを浴びてメンタルがやられるかもしれん。  が、何度も言おう。気にするな。  人並みに要領よくこなせればそれが1番だが、頑張って成果に繋がらないなら仕方ないって。  ふざけてないのに苦笑いで言われる度に情緒を揺さぶられるのはあんまりじゃん。  てか悔しいよ、なんでその一言一言にストレスを溜めなきゃいけないのか(言う側もストレスあるだろうけど……)。と思うなら気にしなさんな。落ち込むだけ大損だ。  てな訳で持論キモティータイムはこんくらいにして、あとは俺と弟子(何の!?)の話を聴いてってくれ。別に蕎麦職人を志してたから蕎麦粉に適した水量を伝授したりとかそういうのじゃない(誰も聞いてねえっしょ)。ちなみに俺も蕎麦なんて打ったことねえ(知らんし)。ちゃんと前述した内容と関連のあるお話をするつもりだから安心したまえ。  そだっ! 序盤で言った「いい人」ってのは余裕があって気遣いのできる奴のことな!  以上! 下剋上を夢見るお兄さん(キラキラ効果音)からでした〜。はじまるお。
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