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2限目終わりの20分休み、3年D組の男子は校庭の隅にあるバスケコートに集った。
今年のクラスマッチはバスケだから、バスケ部の俺は出られない。審判として他のクラスの試合を裁く。その代わりD組の監督を任されることになっていた。
男子は俺を抜いて15人。
クラスマッチの試合時間は前後半10分ずつの合わせて20分。この時間の使い方が勝敗に直結すると感じた。
3チームを作って5分ずつの計15分、残った5分をD組最強チームとして選抜する5人に任せる。それが勝つためにはベストかなと考えていた。
5人のキーマンを見つける。
これがこの休み時間でのタスクだ。
「とりあえずリングひとつしかないけん、3人ずつの3on3やろう」
ボールをぽおんと高く投げると、クラスの体育自慢がコートに入った。クラスで一番背の高い佐々木は決まりかなぁなんて思いながら、とりあえずみんなの実力を見てみることにした。
ゲームをやってみて、ものの数分。
見てらんないな、と苦笑いした。
誰も彼もがボールを受けたら止まってパスを出す先を探している。そこにクラスの陽キャ代表、サッカー部の古賀がむりやりボールを要求してパスを受け、無理な体勢からシュートを放つ。
当然、そんな無理な体勢から素人が入れられるほどバスケのシュートは簡単じゃない。リングに嫌われたボールが大きく弾んで、敵も味方も全員がそのリバウンドを取りにジャンプする。
思わず顔を手で覆った。
うーん、これじゃ勝てん。どう教えればいいやら。
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