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 明日香と舞は所々汚れがついている結希と、女装姿の輝を見て困惑した表情を見せた。 「二人共お待たせしてすみません。この事件は無事終了しました」 「というと……?」 「津雲さんが大学に侵入したこと自体なくなりました」  結希の言葉に明日香は目を伏せて俯いた。輝は我慢できず一歩前に出る。 「津雲さん。原山に申し訳ないとか思わなくていいです。彼はあなたに罪をなすりつけようとしたんですよ」  輝の言葉に、明日香は弱々しく微笑んだ。まだ自分を責めているんだろうなと思った。  どうしたら明日香は前を向けるのだろうか。輝が考え込んでいると、結希が隣に並んで明日香に話しかけた。 「津雲さんが侵入したことで事件が起こったのは事実です。そしてあなたは自分を責めつづけている。それは事件に向き合っている証拠です。これからもこの事件を忘れず向き合い悩んでください。そして津雲さんのペースでいいので、新たな一歩を踏み出してください」 「新たな一歩……、ですか」 「はい。津雲さんはIT系に詳しいので、それを活かせる仕事をするとか。私にとってあなたの才能は羨ましいものですから。本当に」  結希が心から羨ましそうな顔をすると、明日香はくすりと笑った。 「わたしが活かせる仕事……。そうですね。そっちの道も考えてみます」 「はい、頑張ってください。もし悩んで苦しくなったらいつでも来てください。カウンセリングはできませんが、話ぐらいならいくらでも聞きますので」 「ありがとうございます」  明日香はどこか吹っ切れたような表情で、結希に深々と頭を下げた。  輝は隣に立つ結希の横顔を見る。言葉で思いを伝える難しさを知った。でも彼女はそれをやってのけた。  どうやったらこんな風に相手の心を救うことができるのだろうか。  結希の助手だが、彼女の隣に並ぶのはまだまだ遠いなと実感した瞬間だった。
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