プロローグ

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プロローグ

暗い部屋、蝋燭1本の光で少女は、 少女の血で造られた魔方陣を描く。 「……どうか、どうか…………助けて……!」 彼女は貴族の娘。だが綺麗な緑の髪はくすみ 顔には焦燥や不安、疲れが入り混ざっている 彼女はとある古代の魔法に縋った 「謔ェ鬲斐h 謌代′鬘倥>繧貞掌縺医h 謌代′謔イ鬘倥r蜿カ縺医h」 彼女は血で描いた魔方陣の上に、 ネズミを1匹乗せる。ネズミは弱っていて 呼吸も荒々しい、少女はナイフを取り出し ナイフをネズミへ振り落とす。 ナイフは少女が儀式に使用したもの 血の魔方陣を書く為に使用したもの ナイフが振り落とされて……暗い雨の音が 聞こえた。10秒と経過し少女の顔は 暗く、暗く曇る。 「あ……あぁ……失敗……? そんな……」 優しい雨音が段々と地面を叩き付ける ような音へ変わっていく。……ここは地下 深くの牢屋、普通なら雨音は聞こえない。 雨音が響く、そんな最後に……大きな 大きな雷鳴が轟いた 『始めまして、召喚主様?』 黒く艶やかなその長い髪、その髪を 隠すような黒い、漆黒の翼。目元を隠す 黒と白の仮面、肩の出る黒のワンピース、 上に羽織る黒いシースルーのカーディガン ここには、地下深くの牢屋には とても不釣り合い過ぎる服装の、悪魔 「……くれる、の? ……わたし、を……?」 少女の声は酷く掠れていた。 それを聞いた悪魔は首をかしげ言う 『申し訳ありません、聞き取る事が 出来ませんでした、出来ればもう一度、 聞かせて頂きたいのですが……?』 「……私、でも……救って……くれるの……?」 少女はあり得ないと言いたげに、 悪魔へ質問を問いかける。 『はい? それは、どういう意味ですか?』 「……だって、魔力量が多くて、技術力が ある者達……としか……契約は、 結ばないんじゃないの……?」 彼女には技術力など、一欠片も無かった。 この召喚陣も、何処かで一度だけ 見た物を真似ただけだった。 『魔力量なのですが、貴女は鍛えた 魔導師達を……本当に……軽く、かる~く、 凌駕します。技術に関しては……及第点、と 言った所でしょうか? ですが、 この魔方陣を初めて描いたのでしょう? ならば、貴女は所謂、天才と言われる 部類に入るでしょう』 「え? ……でも私、魔力……無いよ?」 今度は悪魔が驚き、怪訝な表情を浮かべる 『……魔力は誰にでも、どんな存在でも 備わって居る、基本的な物なのですよ? ……いえ、それよりも……私と契約を、 早く結びましょう?』 「えぇっと……それは……何で……?」 悪魔は薄く笑って言う、少しだけ 少女へ同情を声に表して、 『私がこの世界に居れる時間は有限ですから これは、貴女の為でもあるんです』 不気味などこか恐ろしい雰囲気が漂い、 少女はそれを恐る恐る聞き入れた。 「成る程……えっと……お願いします」 『それでは、契約に移らせていただきます』 悪魔は笑いながら少女へ問う 『貴女の望む願いは何でしょうか?』 「……幸せに、生きたいの……どうしても……」 ならば、と目の前の悪魔は前置きをして 『対価は……貴女の持つ魔力とします。 ……よろしいですね?』 「魔力を対価に? ……なら、私は魔法が 今後一切……使えなくなるって……こと?」 『違いますよ? 私が現界する、あぁ…… この世界に居る為に、必要な分の魔力を 貴女から貰うと言う話です』 呆れたように悪魔は言う 『契約に移りましょう、貴女の御名前は?』 「名前? 私の……? 私の名前は "エライト・グラン・エメラルド"」 言い名前ですねと悪魔は言った 『最後に私に名前をつけてくださいな』 「"クロ"とかはどうかな? 髪が黒いし……」 『……ハァ? 却下に決まってるでしょう? 愛玩動物のような安直なのはやめて 下さいませんか? 唯々不愉快です』 そう言って怒りを顕にする悪魔、 ……ふと、エライトは思い付いた 「そんなに、怒らなくても……あ!」 『何ですか?』「"フィフス"って、どう?」 『なら……そうですね…… "フィフス・グリード"と名乗りましょう』 フィフスはその名前が気に入ったのか、 機嫌がいい、エライトは違和感を覚えて 「ねぇ、"グリード"ってどっから来たの?」 『……お気になさらず』 「気になるから教えてよ!」 フィフスは唯々答えたくないことの ようで、ごまかし続ける 『…………何となく、ですね……』 「……え? 何となく? ……何となく??」 『……これにて、契約成立といたしますが、 何処か不満な点などはありませんか?』 「えっ……うん、大丈夫、だよ……?」 フィフスとエライトは成立させた。 ……エライトは少し考えて、フィフスヘ頼む 「あっ……私に敬語は無しでお願い、ね!」 『……はい?』「お願い!」『嫌で』 「お願い!!」『嫌d』「お願い!!!」 エライトは頑固とした意思で何度もそう言う その様子を見ていたフィフスは先に折れ 『あ~あ……魔力に惹かれて来てみれば 相当に面倒な召喚主ですn……みたい…… 早く、魔界に帰りたいd、帰りたい』 「助けて……くれない、の?」 『助けるよ? そういう契約でs、だし…… まぁ、先ずはそうだなぁ…… この牢屋から出るとしようか』 「ここから出るって言ってもどう出るの?」 その言葉に不思議そうにフィフスは 首をかしげる、エライトも首をかしげる 『出ようと思えばいくらでも……ほら』 金属の折れる音が鳴り、牢屋の鉄扉を開ける 「……っえ? ……えぇ?……え~~~!?」 『静かにして! ……看守達が来る! あれ? ……何か……遅いような……?』 フィフスはエライトに焦ったようすで言う 「あ、それに関しては、平気だよ」 『……何で?』 「ここはすっごく奥深くの地下だよ?」 『えっ』 エライトは笑って言う、一方フィフスは 困惑の表情を浮かべる、 「そうじゃなければ……悪魔の召喚陣何て、 書けないよ? 書けるわけがないし……」 『……食事はどうしてたの……?』 フィフスは恐る恐る聞く、 こんな地下深くで何を食べていたのか? と するとエライトは笑って 「大丈夫。鼠と虫なんかを1日一つは 食べたし、1週間に一度纏めて水は 貰えるから!……まぁ、今日は何も 食べてないよ、生け贄にしちゃったし」 『……え? ……虫? ……鼠?』 「どうかしたの?」 フィフスは同情した様子で言う 『……先に食事にしない? え~と……食事なら私が出すから!』 「え? 持ってるようには見えないよ……?」 フィフスが指を鳴らす。次の瞬間には、 机と椅子がその場に現れていた。 驚くエライトを椅子に座らせ 『何か食べれない物とか、有る?』 「……ないよ? ない筈……無いね」 『なら、胃に優しいものにしようか』 くるりとフィフスはターンを描くと服装が 大きく変わった、エプロンをつけて、 料理をする気満々の様子。 『なら……うん……ちょっとだけ待っててね』 そう言って、フィフスは牢屋から消える 数分、数十分程たった頃。フィフスは現れた 『……はい。リゾットだよ。どうかな?』 「美味しそう……頂きます……!」 エライトがリゾットを食べ始める、 リゾットは出来立てのように熱くなくて、 少し温くなっていた。 「美味しい……!」『良かったぁ…… そうそう……リゾットなんだけど、 もっと熱い方が良かった?』 フィフスが心配そうにエライトへ聞く 「これぐらいが丁度良い……かな?」 『そう? なら、よかったぁ……』 フィフスは安心したように力を抜く 「とってもおいしかった! あ…… ちょっと良い? リゾットって 何処から持ってきたの?」 『食べるの早いね~……あぁ、それ? ……強いて言うなら、魔界かな?』 フィフスは笑って答える 「もっと食べて良い? 最近、 食べれてなくて……ね?」 『鼠とか虫とかを?』 「うん……最近少なくなって、さぁ……」 フィフスはパチンと指を鳴らす。 すると、温いリゾットが机の上に現れる 『はい、どうぞ。……それにしても…… "少なくなった"かぁ……ふふふ』 「えっと……どうかしたの?」 『何でもないよ~……少し、 待っててくれる? ちょっと行かなくちゃ』 フィフスは笑いながら、指を鳴らす。 するとフィフスが着ていたエプロンが消える 「何するの?」『私も"食事"にしようかな? って思ってさ……まぁ、悪魔の食品って あんまり美味しくないんだけど……』 「でも、お腹減ってるんでしょ? 食べてきたら? 少しでも食べた方が 良い、とは思うんだけどなぁ……」 フィフスはその言葉に驚いてから……笑う 『ふふ……じゃ、そうさせてもらおうかな』 指を鳴らすとフィフスはエライトの前から 完全に姿が消えた。 「……フィフスは何を食べるんだろう?」 ポツリとエライトは呟いた。 そこから時間にして約四半刻程たった頃、 フィフスが何処からともなく現れる 「ご飯美味しかった?」 『ん~、食べてないよ、やっぱ不味いし』 フィフスは戻ってくるなり、 何かの魔方陣を弄り出した 「え……何で?」 『やっぱ要らないかなぁって思ってね』 魔方陣を弄るのを止めてフィフスは呟く 「えっ? 今なんて言ったの?」 『それよりも、お姫様を迎えにいくよ?』 さらり、と言ってのけるフィフス 「……お姫様? それって誰なの?」 エライトは不思議そうに言う、フィフスは 『君の妹だよ?』 「え、……私って、妹いたの!?」 『あ、知らなかったんだ? まぁ、 双子って世間一般的には忌み子だから、 しょうがない、かもしれないなぁ……』 「しかも双子なの!?」 エライトの悲鳴のような言葉が 牢屋には木霊していた
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