義弟を守りたい

2/4
前へ
/50ページ
次へ
私は震える手で奈美子さんの携帯の番号を押した。 3回目のコールで「誰?」という奈美子さんの声が耳に入る。 「私・・・先日お会いした一宮皐月です。神原奈美子さんの携帯で間違いないですか?」 すこしの間があき、奈美子さんの息を飲む音が聞こえた。 「本当に連絡が来るとは思わなかった。あなた、正気?」 「はい。正気です。」 自分の声が硬くて、緊張で強張っているのがわかった。 「そう。」 それだけ言うと奈美子さんは含み笑いをした。 「そんなに廉のことが好きなんだ?」 「・・・はい。」 「どいつもこいつも馬鹿みたい。笑っちゃう。」 「・・・・・・。」 「いいわ。じゃ今度の日曜日、空けといてね。時間と場所が決まったら私から連絡するから。」 それだけ言うと奈美子さんはブツッと電話を切った。 もう引き返せない。 でも廉を守るにはこれしかない。 私が一回だけ・・・一回だけ我慢すれば廉は自由になれる。
/50ページ

最初のコメントを投稿しよう!

105人が本棚に入れています
本棚に追加