義弟を守りたい

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約束の日曜日。 奈美子さんに指定された喫茶店で相手の男性を待った。 白いブラウスに紺のスカートを着た私は、不安と怖れで心臓が飛び出しそうだった。 どんな男性が来るのだろう。 怖い人だったらどうしよう。 初めてのデートがこんな形だなんて本当はすごく辛い。 隣のテーブルでは仲の良さそうな若いカップルが、楽しそうにふたりだけの世界に浸っている。 それが心底羨ましかった。 ウエイトレスから出されたコップの水をみつめていると、ふいに男性の声が降って来た。 「一宮皐月ちゃん?」 顔を上げると、銀縁の眼鏡をかけ、グレーのジャケットを着た細身の男性が私を見て目を細めた。 「は、はい。」 男性は私の前の席に座ると、頬杖をつき私の顔をまじまじと眺めた。 「ふーん。可愛いね。君、高校生だよね?」 「はい。」 「年上の男性と付き合ってみたいって本当?」 「はい。」 「僕の名前は吉沢祐樹。よろしくね。」 吉沢さんはそう言って、私の緊張をほぐすようにおどけた声でそう挨拶した。 「よろしくお願いします。」 私が頭を下げると、吉沢さんはそんな私を眺め腕を組み、うーんと唸った。 「すごく真面目そうだけど・・・思ってたのと違うなあ。君、彼氏とかいたことある?」 「・・・ありません。」 「そう緊張しないで。少し話そうか。」 吉沢さんはそう言うと、いたずらっぽく微笑んだ。 もっと軽薄で浮ついた男性が来ると思っていた私は、意外と紳士的でまともな吉沢さんを見て拍子抜けしてしまった。 と、共にホッとして肩の力が抜ける。 吉沢さんは屈託なく話し始めた。
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