07. 露呈

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「次は本田さんの番ですよ?」 「え?」 「私は今日起きたことや思ってることをちゃんと伝えました。だから本田さんもちゃんと言ってください。わからないままなのは嫌です」 すると本田は観念した様子で深く息を吐き出し、ボソボソと話し始めた。 「みっともない真似をして怖がらせて申し訳ありませんでした。自分に、こんなにも強烈で……真っ黒で抑えられない感情があるなんて知りませんでした。本当に申し訳ない」 躊躇(ためら)いつつそう言った本田の抱きしめる腕が僅かに震えていて、(なだ)めるように背中を撫でた。 それは……もしかして初めて嫉妬したってことかな、なんて野暮だから聞かないけど、もしもそうならちょっと特別感がある。 ……あー、ダメだダメだ。嫉妬を喜んで痛い目を見たばかりなのに。 「本田さんの言う『真っ黒で抑えられない感情』って、どういうものなんですか?」 「それは……お話ししなければなりませんか?」 「できればお願いします」 少しの間沈黙した本田は、再び口を開いた。 「それでは……なるべく言葉にしてみますが、不快と感じるものだったら申し訳ありません」 「はい、気にせず何でもどうぞ」 「……真央に対して、相手が男性だからと友達付き合いをやめさせる権利も、あの男がいるからとバイトをやめさせる権利も、僕にはありません」 「そう……ですか」 「ですが……」 そう言葉を切った本田は、抱きしめる腕にグッと力を込めた。 「ほかの男性があなたに無遠慮に触れるのは、どうにもこうにも(さつ)――…………」 ……うん? 本田の言葉が『どうにもこうにもさつ』で止まったままだが何だろう。 さつ……さつ……さつまいも。 どうにもこうにもさつまいも……なわけないな。 さつ……薩摩揚げ、撮影、五月晴れ…… ほかはちょっと物騒なのしか思い浮かばないけど……いやいや、まさかね。清く正しい本田さんのお口がそんなこと言うわけないよ。 それに、そこまでの気持ちを私に対して持ってないよ~。 やだなぁ、もう。
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