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玄関のドアが閉まった途端、その場でドアに押し付けられて唇をこじ開けるような強引なキスから始まり、Tシャツの裾から本田の冷たい手が早急に入り込んで素肌に触れる。背中に回った手であっという間にブラのホックを外されると、バストをギュッと強く握られた。
「あぁっ……本田さ……んっ……」
名前を呼んでも何の反応もないまま、ワイドパンツのフロントホックを外され、本田の手が無遠慮にショーツの内側に入り込んで蠢いた。
「ひぁ――ッ! やぁ……ん、待っ――ッ、んっ」
深いキスで唇を塞がれる中、下腹部からはぴちゃぴちゃと水音が鳴って玄関内に響き渡る。こんな状況でも既に蜜を湛えている自分に、いつも以上に羞恥が募っていく。
そして性急にずぶりと埋められた本田の指が蜜壁を這い、抑えたくとも抑えられない快感がどんどん高められていった。
「んっ……やぁっ……んぅっ」
初めての夜に本田に教えられた快楽は大きな幸福に包まれ、もっともっとと強請りたいほどだった。
でも今は無意識に拒絶したい気持ちが湧き上がって、込み上げる快感から逃れるように脚をギュッと閉じる。それなのに脚の間に本田の膝が乱暴に捻じ込まれて、閉じることが叶わなくなった。
「あん、やめ……て……あぁっ!」
心のどこかで本田が怒ってくれてるのを嬉しく思う自分がいた。きっとそれは嫉妬だから。その姿をもっと見ていたいと望む自分がいた。
そうして自ら望んでここに来たのに……いざとなると怖くなって拒絶する自分。本田が嫉妬してくれることを喜ぶ気持ちなんてすでに吹き飛んでしまった。
一言も発せずにただただ続けられる官能を高めようとするだけの行為が、胸に突き刺さるように辛く苦しくなってきたのだ。
「本田さ……ん……!」
名前を呼んでも本田は止まらず、何の反応もない。こちらを見てもくれず、目も合わないままだ。
本田の警告を聞き入れず、微かな期待なんてしていた自分はなんて愚かだったのだろう。
今さら後悔してももう遅い。
「……ごめ……っ……ごめんなさい……」
それでもきちんと謝りたい。そして伝えたい。
「好き……本田さんが好きなの! 大好き!」
揺るがぬ思いを乗せて必死に声を上げると、本田の手がピタッと止まった。
ようやく止まった悲しく寂しいだけの愛撫。気が付けば荒くなっていた呼吸を、無理矢理飲み下すようにゴクリと喉を鳴らすと、それと同時に涙が込み上げてボロボロと零れ落ちる。
「本田さん……っ、好きです……大好きです……っ、本当にごめんなさい……」
小さく嗚咽を漏らして泣きながら本田にギュッと抱きついても、本田からは抱きしめ返してもらえなかった。
それを寂しいと思う資格なんて、今の自分にあるのだろうか。
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