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山村は、まるで解っていなさそうだが、俺は鈴木の言葉に察しがついた。
「妬んでくる奴等も居るって事か」
『そうです、それでなくても千夜くんはモテます。くれぐれも気をつけて下さい』
『大丈夫だよう。僕の保は嫉妬されても、けちょんけちょんにするから!』
「僕のって、俺は山村の番になった覚えはねー」
だが、確かに妬んで絡んでくる連中が居ても返り討ちさせる自信はある。
『そうストレートに来る人達だけなら良いんですけどね…』
鈴木は、まだ不安そうな声色だった。
鈴木の言わんとしてることは、この時の俺には、わからなかった。
『鈴木くん、気にし過ぎ!ところでさあ…』
山村が話題を変えたことで、この話は今夜は、ここまでになった。
翌朝。
まだまだ外は残暑が厳しかったので、俺は組員の田中に車で学園まで送ってもらうことにした。
車の中はクーラーが効いている。
「坊ちゃん、あそこに見えるのは香澄お嬢さんじゃありやせんか?」
田中の言葉に視線を前に向けると、確かに香澄の後ろ姿が見える。
「丁度、後部座席が空いてる。田中、香澄も乗せて行くぞ」
「かしこまりやした」
田中は香澄の直ぐ横まで進むと車を止めた。
俺は助手席から車の窓を開ける。
「よお、香澄」
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