思いもかけずに

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香澄は一瞬、驚いたようだが、直ぐに千夜組の車だと解ったようだ。 1度、車に乗せた事も、有るからな。 「おはよう、千夜くん。田中さんも、おはようございます」 「おはようございやす」 「香澄、歩きじゃ暑いだろ。学園まで乗ってけよ」 「ありがとう、千夜くん。田中さん、宜しくお願いします」 「アイアイサー!」 田中の言葉と共に車の後部座席へのドアが開いた。 香澄は俺の斜め後ろの座席に座ると、シートベルトを締める。 それを合図に車は再び学園へと走り出した。 窓の外の景色は、住宅街だ。 ある一軒家の庭には向日葵が咲いている。 今年も残暑が厳しいから、向日葵もまだまだ元気だ。 「香澄、見てみろよ。向日葵が綺麗だぜ」 俺はそう言ったが、信号が青に変わって、向日葵は見えなくなっちまった。 「帰り道、又、教えて?…それで昨日言っていたDVDがコレ」 後ろから香澄が腕を伸ばしてパッケージ入りのDVDを俺に向かって差し出した。 顔と首だけ後ろを向いた俺は礼を言い片腕を伸ばして、それを受け取った。 「坊ちゃん、ドラマのDVDですかい?」 前を見ながら田中が尋ねる。 「いんや、何でも俺が昨日、テレビに出たらしい。そのDVDだ」 「坊ちゃんがテレビに?!」
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