思いもかけずに

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田中は心底、驚いたようだ。 まあ、テレビなんざ滅多に出ねーからな。 「はい。千夜くんがお昼の番組『食べちゃいな』のコーナーで、料理をしている様子が流れたんです」 既に観ている香澄が田中を安心させるように補足する。 田中の事だから、ニュース番組に容疑者として、出たと思っているかもしれねーからな。 『食べちゃいな』は、全国ネットで流れる昼番組『いぶし銀のレシピ』の特集コーナーの1つで、毎回、一般人が何らかの材料で料理に挑戦する。 『いぶし銀のレシピ』の中でも人気の有るコーナーだ。 俺は受け取ったDVDを鞄に入れた。 「何なら田中も一緒に観るか?」 「ありがとうございやす。ただ、今日はこの後、頭の会合に付き合わなくてはいけやせん。香澄お嬢さんが良ければ後日、拝見させて頂きやす」 「あ、千夜くんにも昨日、言いましたけど、卒業までに返してくれれば良いですから」 香澄がそう言ったところで車は学園の前に着いた。 「何かいつもより人多くねーか?」 学園前…特に校門付近には、主に女子生徒たちが大勢集まっていた。 俺等が通う心誠学園は、今年から共学になった為女子生徒の数は、まだ少ねー。 それでも、こんなに大勢いるって、どーゆーこった。
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