6.九千キロメートルの告白

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空港から自宅までの距離がもどかしくてたまらなかった。恐らく天馬もそう思っていたのだろう。電車移動の間、二人ともほぼ無言だったのは、口を開いてしまったら人の目も気にせずにキスをしてしまいそうだったからだ。 田町駅の改札を抜け、数分歩いた場所にあるマンションが私の家だ。会社が準備したものだが、一人暮らしには広くて、エントランスから部屋に入るまで天馬は『ロジェすごいなあ』と呟いていた。もちろん社宅であることは分かっているようだがキョロキョロして落ち着きがない。家具もまだそんなにないので、部屋は殺風景だ。 玄関のドアを閉めて、私は天馬の背後から彼を抱きしめる。驚いて振り向いた天馬の唇に、つかさずキスをする。柔らかい感触を味わいつつ、何度も離してはくっつけて。 「ん……」 やがて天馬の体制が難しそうなことに気づき、体を離すと彼は私の方に体を向け、今度は彼からキスをしてきた。チュッと可愛らしい音が部屋に響いている。だんだんと我慢ができなくなり天馬の頬を両手で包むようにして固定し、自分の舌を口内へと滑らせた。ビクッと天馬の体が揺れたがそのまま続けていると、彼の舌が絡まってくる。 「ふ……ああ」 長い情熱的なキスを終えると、天馬は蕩けたような顔を見せてきたので私は思わず生唾を飲んだ。 「天馬、すまない、これ以上は我慢できなくなるから……コーヒーでも淹れよう」 体を離し、顔を背けてキッチンに向かおうとした私の腕を、天馬が掴む。少し口を尖らせながら。 「我慢しなくていいのに」 「……」 奥ゆかしい日本人はいつのまにか肉食になってしまったようだ。 その言葉で貪るようなキスをしながら、天馬は私のシャツを、私は彼のパーカーを脱がした。上半身が顕になり首すじから胸元、臍の辺りまで下を這わせると天馬はもじもじと体をくねらせる。玄関前で立ったままの愛撫はつらいだろうと、彼を寝室に誘う。ベッドはもう届いていたので硬い床での初めてにならずに済んだ。 どちらのポジションで、という迷いはこうなる前にあったのだが自然に天馬を組み敷く形になっていて彼もそれを嫌がる様子はない。耳たぶと胸元の突起を舐めると過剰なほど体に反応が出たので、どうやらそこが弱いようだ。 「ん……っ、は……」 「天馬、ここには私しかいない。もっと可愛らしい声を聞かせて」 「や……、恥ずかし……ッ、ああっ」 布越しに触れていた天馬の膨らみを、下着に手を入れて直接触れた。手の中でどんどん主張していくそれが愛しくて私は手を離した後下着ごとジーパンを脱がす。大きくなったその可愛いものはようやく外に出てさらに主張しヌメヌメしている。 「可愛い」 そう呟き、それにキスをすると口に含むと天馬の体が激しく仰け反る。 「ちょっと、そんな……っ、んんっ……」 まるで体験したことがないような反応を見せる。初めてなのだろうか。でもそこは聞かなくていい。過去なんて知らなくていいのだ。しばらく口で可愛がっていくと、天馬はもう声を抑える様子はなくなっていた。 「ああっ、だめ、でちゃ……ん……!」
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