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「好きじゃないのに、押し付けられたから頑張って見ちゃうんだ? パパって本当にお人好し」
「いや……」
「ん?」
「南はパパが野球嫌いだと思ってるみたいだけど、逆だ。パパは高校時代、野球部だったんだよ。これはパパが三年の時、うちの高校が甲子園に初出場した時の映像だ」
「えっ⁉ 初耳なんだけど」
びっくりして聞き返すと、パパはバツの悪そうな顔で鼻の頭をかいた。
「パパがああいう態度を取ってるから、ママも話題に出しにくいんだろうな」
「何それ。じゃあ、パパが高校野球を避けてるのは好きの裏返しなの? ツンデレ?」
「ツンデレとは違うと思うが……?」
「フツーに考えるなら、そうだよね」
「高校野球なんてさ、優勝する一校以外はみんな負けるのが当たり前なんだけどさ、パパはそれが受け入れられなかったんだよ。悔しくて悔しくて――」
「あっ! なんかすごいイケメンいる!」
思わず大きな声を上げてしまった。しょうがないじゃないよね。何となく眺めていた画面の中に私好みの切れ長美形がいたんだもん。一生懸命な人たちはみんな格好いいと思うけど、やっぱりイケメンは別格だよ。
私の視線は打席に立ったイケメンに釘付けになった。
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