序章

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 『墓場まで持って行かなければいけない秘密』……そんな言葉を思う。今ならはっきりとわかる。それは決して自分のためではない。残される者のためだ。そして私にとってそれはだけだと思う。絶対に白日の下に晒されてはいけないたったひとつ。  もし、時代が違ったらどうだったのだろう。いや、であっても決して許されることではないだろう。心は自由であったとしても、私の選択は許されるものではない。  ごめん、フミくん、綾美。どれほど謝っても私の罪は消えない。そして私はを消し去らなくてはいけない。この命が尽きる前に。私たちが愛する者たちのために。
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