記憶

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「じゃあ、また」 「…うん」 彼と私はいつもこの道でお互い分かれる。 きっともう、これが彼は感謝を伝える機会の最後のチャンスのはず、そう思い 噴水が見える公園に方へと歩き出そうとした彼を呼び止めた。 「どうしたの」 「ありがとう、本当に。今まで沢山、助けてくれて寄り添ってくれて」 きっと、誰よりも親身になってそばに居てくれたのが彼だった。 最初は正直、信頼出来なかった。を話していいひとなのか、そうじゃないのか。でもいつも誠実で友達想いな姿から自然と信頼するようになっていった。 「――――麗那」 「たぶん、朱宮が居なかったら私は付き合えなかったよ。晴都と」 そう告げると、彼は想いを馳せるかのようにアスファルトに視線を落とす。 「別に……でもっ!」 「でも?」 「良かったじゃん、付き合えて」 懐かしい笑顔で笑い、そう言って祝福してくれた。
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