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私はグラスを持ち上げて「じゃあ帰宅部?」と続ける。浅井がどんな学生生活を送っていたかなんて興味は無いけれど、ぶつりと話を切るのは違うだろう。だから質問。私だって空気くらい読める。
すると浅井は左手の人差し指を伸ばし私に向けた。真っ直ぐを通り越して少し反り上がったその先には、短く整えられた白い爪。
「弓道部」
「え? 弓道?! 弓ってこと?」
そ、とウインクをして左手を下ろす。
「袴着てさ、的を射るあれ。俺、インターハイにも出たんだぜ」
「ウソ!」
「ウソじゃないよ。こう見えて実はスゴイの、俺」
ふっと右の口の端を持ち上げて笑った。
(何なの)
一途だとか、インターハイだとか、いちいち想像の斜め上の回答を寄越す。見た目と中身は違うんじゃないかって、私の考えが間違ってるんじゃないかって、自分の全てをひっくり返されてる気がする。
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