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冷え性だからと応えれば、「そうなんだ」と笑った。大谷くんとは違う、どちらかと言えばイチローみたいな、ヒゲを生やした男臭い顔は私の好みではない。
「だから週末はイタリアンで」
「だから、って何に掛かってるの?」
私のこれまでの受け答えにイタリアンに行くことを匂わせるものはあっただろうか。
いや、ない。
「土曜日にしよう。天気が良いと良いな」
浅井は私の質問には答えず、前のめりに上半身をテーブルに近付けて、残りのハンバーガーに取りかかった。
「詳しい時間とかは金曜日にLINEするから、それで決めよう」
「だから私は行くなんて一言も」
蕩けたチーズがこぼれ落ちそうになっているハンバーガーの、どの部分から食べようか考えてるみたいにくるくると回してからそれをピタリと止めた浅井は、片眉を吊り上げて私を見上げた。
「来るよ。七瀬は」
ハンバーガーの欠片が口の中に消える。私が行くと断言するその自信は一体どこからくるんだろう。
「行かない」
フォークをサラダボウルに戻した。紫色をした名前も分からない葉っぱに、オレンジ色の甘酸っぱいドレッシングを絡める。
浅井は「頑張るね」ともう一度笑った。
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