2

1/1
前へ
/3ページ
次へ

2

姉が死んで1週間。未だに寒さは厳しく、毎朝起きるのが大変だった。私は嫌々、仕事に向かう準備をしていた。手袋、マフラーなど完全装備をして雪が積もりに積もった地面を一歩一歩踏み出した。新雪特有の音を聞きながら、姉との思い出を思い出した。 「花奈乃ー、寒い、寒すぎるよォ、、、」 「お姉ちゃん、冬なんだから寒いに決まってるよ。手袋忘れるのはダメでしょ、、、」 「よぉし、手袋忘れたけど久しぶりに雪合戦をしようじゃないか!お姉ちゃん強いぞー!」 「はぁ、、、いいよ。手が霜焼けになっても知らないからね。」 つい最近の事だったから、その時の景色が鮮明に覚えていた。家の近くの公園で突然始まった雪合戦。20歳を超えてる私達が、幼心を思い出したかのように雪に触れた。姉の作る雪玉はあまり硬くなくて、当たっても柔らかかった。 そんな事を思い出していたら、声をかけられた。 「花奈乃さぁん?おはようございます!今日もびっくりするぐらい寒いですねー。完全装備をしている花奈乃さんには、、、じゃじゃぁーん! あったかぁいコーンスープをあげます!飲んでくださいね!」 朝から信じられないぐらい元気な後輩、秋蘭。 私の反応など構いなく、私の手に缶のコーンスープを握らせた。心なしかこの後輩はどこか姉に似ている。だから少し、目頭が熱くなる。 困ったもんだ。 「花奈乃さん、今日は浮かない顔してますね。何かあったんですか、、、?」 図星をつかれ、おどおどしてしまったが素直に答えた。 「1週間前、姉が殺されたんです。唯一の家族だったんですけどね。ハハ 見事に孤独ですよ。」 口にしたら、色々な感情が湧き出てきた。 怒り、悲しみ、寂しい、悔しい、、、 1番大きかったのは悔しいだった。姉を殺した男から、守る事ができたらこんなことにはならなかったのに。 「あの、花奈乃さん。涙が、、、」 あ、、、れ、、、。なんで、、、。アハハ。もう、終わってしまったことなのに。どうしてだ。
/3ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加