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--------数分後
「それは、、、とてもショッキングですね、、、
しかし、花奈乃さんが塞ぎ込んでると思ったらそんな悲しいことがあったんですね、、、」
後輩の秋蘭がくっきりした二重の大きな目に涙を溜めていた。他人のことなのに自分も泣きそうだなんて。なんて良いヤツなんだろう。
秋蘭に貰ったコーンスープを飲みながら話して、職場へ向かった。
私はウェディングプランナーをやっている。凄腕という訳でもなく、まぁまぁなウェディングプランナー。それなりに仕事はうまくいっていると思うし、稼いだ分で葬儀にはあまり困らなかった。家族葬をやるにしても家族は私しかいないから一般葬にした。
パリッと白いYシャツを着て、ジャケットを羽織り、中途半端に伸びた髪の毛をいつもはしないポニーテールにしてみた。スニーカーからパンプスに履き替え、スカートの裾を払った。何故かいつもの工程をいつもより丁寧に行ったら、良いことが起きるかもしれない。そんな事を頭の端で考えていたら、偶然男子更衣室から出てきた秋蘭と目が合った。
「花奈乃さん?いつも髪の毛結んでないのに今日は結んでいるんですね〜。とってもお似合いですよ!」
普段は大きな目を、糸目にして微笑みながら言った。不服にも少しだけ、心臓が、
"高まった"気がした。
いや、気のせいだろう。まさかあの秋蘭に好意を抱く訳がない。そう思って、
「あぁ、ありがと。それより今日のスケジュールなんだっけ。」
歩きながら自分のバインダーと秋蘭のバインダーを見合わせた。
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