4547人が本棚に入れています
本棚に追加
「……なんか心配ごとでもある?」
「心配事、っていうか、なんていうか……」
私は小さな声で話し出した。
大学生の頃、あるサークルに所属していた。みんな仲が良くて、楽しく時間を共有し、学生としていい思い出をたくさん作った。自分にとって大切な居場所だった。
そして同じサークル内に、彼氏も出来た。人生で初めて出来た彼氏で、サークルのメンバー公認のカップルになっていた。
とにかく嬉しくて、好きで、毎日が輝いて見えた。それまで興味がなかったおしゃれも頑張って、少しでも可愛く見えるように努力した日々が懐かしい。
付き合ってから一年以上が過ぎ、私たちが三年生になる頃、私はサークルの部長にならないか、と誘われた。今までは男性ばかりが部長をやっていたので、かなり驚かされた。
岩坂さんはしっかり者だし、責任感も強いから、絶対にふさわしい! そんな熱意に押され、部長をすることになった。サークルは大好きな場所だったし、彼氏も『伊織ならぴったりだと思う。伊織のしっかりしてるところ、好きだから』と言ってくれたので、断れるわけがなかったのだ。
最初のコメントを投稿しよう!