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「物騒すぎませんか」
「私がそのサークル内にいたら、ぼっこぼこにしてやったのに……! ああ、でも違うか、下手に騒ぐと伊織ちゃんの立場が悪くなるんだよね。伊織ちゃんはとにかく平穏に過ごしたいって思ってたんだから」
「そうなんです。一緒に怒ってくれるメンバーもいましたけど、どうか何も言わないで、とお願いしたのは私の方なんです」
「そりゃあ、大事にしたくない気持ちはわかるけどさあ」
目を吊り上げ、本気で怒ってくれる久保田さんに、つい笑ってしまった。こんなに共感してくれるのは、私としては嬉しい。
「しょうがないです、恋愛は自由ですからね。ただ、同じサークル内の子だったっていうのと、しっかりしてるところが好き、と言っていたのに、真逆の子に乗り換えられたのはショックでした」
「それで、恋愛に消極的なのね」
久保田さんが真剣な顔で尋ねる。私は頷いてからあげを頬張った。
「ここの職場に来て、私の真面目過ぎるところをみんなが評価してくれるから、だいぶ救われました。でも恋愛ってなるとまた別で……」
「深そうね、これは」
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