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はあと久保田さんはため息をつきながらお水を飲む。だがすぐに、ずいっと私に顔を寄せた。
「でも、三田さんはどう見ても伊織ちゃんが好きだよ。みんなそう思ってる。過去の傷は辛いと思うけど、新しい恋も必要だと思うな。……いや、これは伊織ちゃんじゃなくて、三田さんに頑張ってもらわなきゃだ。こんなにいい子なんだから、過去の呪縛から救ってやってほしい!! なんなら私が付き合ってあげたい!!」
力強く言ってくれる久保田さんに、また笑ってしまった。なんていい人なんだろう。
サークルでのことは、正直トラウマになっている。あの一年間は辛かった。二人の仲がよさそうな様子を見るのも、周りから腫物を扱うような態度を取られるのも、何もかも。あの場所は自分にとってとても大切なもので、居場所だったというのに。
もう二度と恋はしたくない、そう思っていたのに、私はまた恋をした。
三田さんはいつだって優しい。とびきりイケメン、というわけじゃないけど、一緒にいると表情が緩んでしまうような、そんな明るさがある。丁寧に仕事を教えてくれて、今でも私を気にかけてくれたり、励ましたりしてくれる。
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